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目立たぬ客引き 低価格で「遊び」
息吹き返す6畳間 川崎・堀之内 違法風俗店ルポ

社会 神奈川新聞  2015年10月11日 03:00

店内をのぞくと立ち上がり、ほほ笑みかける女性たち =川崎市川崎区堀之内町
店内をのぞくと立ち上がり、ほほ笑みかける女性たち =川崎市川崎区堀之内町

 国内有数の歓楽街として知られる川崎・堀之内。ネオンに彩られた街で、小規模な違法風俗店がひそかに営業を続けている。「ちょんの間」。県警の浄化作戦で県内から消えたはずの売春宿は、なぜ息を吹き返したのか-。闇に溶け込む色街の今を追った。

 「お兄さん、どう? 遊んでいかない?」。JR川崎駅から徒歩15分のソープランド街。きらびやかな表通りを外れて路地を歩くと、外見は昔ながらの小料理屋が3軒連なっている。客引きはいない。ガラス張りの戸から店内をのぞくと、奧に腰掛けていた2人の女性がほほ笑みかけてくる。

 「酒は飲めますか?」「飲みはやってない。遊びだけ…」。女性は言葉少なに応じ、「30分1万円」と続けた。4畳半ほどのスペースに酒のボトルが並ぶテーブル、奥の6畳間には布団が敷かれている。

 「2カ月前に来た。ここで働いているのは専門学校の学費を稼ぐため」。自称韓国籍の25歳の女性が、片言の英語で語る。別の自称韓国籍で25歳の女性は、韓国語と英語で「今日、日本に来たばかり」と言った。

 店で働く日本人女性の多くは30~50代で、20代は外国籍が多いようだ。近くで約30年暮らす飲食店経営者が打ち明ける。「ソープで働けなくなった人たちが、この職業から手を引けずちょんの間で働いている」

 平日の午後10時すぎ。人通りもまばらな路地で、店から出てきた30代の男性客は「女性を実際に見て選べ、低価格で『遊び』を楽しめる」と語った。



 横浜・黄金町の「ちょんの間」、JR町田駅南口の「たんぼ」(相模原市)-。県内にはかつて、複数の違法風俗店街があった。だが、2005年以降の県警による取り締まりでともに壊滅、別の街並みに生まれ変わっている。

 なぜ、堀之内だけが復活したのか。当時、浄化作戦に当たった県警幹部は「黄金町や相模原は一帯がすべて違法風俗店だったが、堀之内は広い風俗街の中に点在している」と成り立ちの違いを強調する。ちょんの間だけ排除しても街の雰囲気は変わらず、復活の素地は残るというわけだ。

 県警によると、01年に約80軒を数えた堀之内の違法風俗店は、04年前後の取り締まりで半減。06年ごろから韓国人が経営する店が増えたものの、09年の一斉取り締まりで一掃された。

 だが今、3~5軒が密集し、数カ所に点在しているとみられる。客を待つ中年の日本人女性は「取り締まりで一時なくなったが、この1、2年で増え始めた」。

 どの店も客引きを控え、営業時間は周辺の風俗店と同じ。極力目立たないようにしており、かつてのように周辺住民が苦情を寄せることもない。県警は「違法営業が明らかになれば当然取り締まるが、現段階では把握していない」としている。


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