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石さんぽ(1)白丁場石 採掘終えた幻の石材

話題 神奈川新聞  2017年01月05日 15:56

外壁に白丁場石が併用されている県立歴史博物館(旧横浜正金銀行本店本館)=横浜市中区
外壁に白丁場石が併用されている県立歴史博物館(旧横浜正金銀行本店本館)=横浜市中区

 県立生命の星・地球博物館(小田原市入生田)で、企画展「石展2~かながわの大地が生み出した石材」が2月26日まで開催されている。同館と県立歴史博物館(横浜市中区南仲通)による初の共同開催。神奈川で採れる“石材”について、自然科学的な視点と人文科学的な視点の両面から、両博物館の学芸員に紹介してもらう。

 箱根火山は40万年前から火山活動が始まり、大量の溶岩を噴出してきた。箱根火山の溶岩は、大部分が灰色の安山岩という種類の岩石である。石材で有名な新小松石や根府川石などが安山岩だ。そんな箱根火山の溶岩の中で、例外的に白い溶岩がある。

 溶岩が採れる場所は湯河原町鍛冶屋。JR東海道線で湯河原駅から真鶴駅に向かう途中、山側を眺めていると採石によって白い岩盤が露出した山が見える。この石は、地質学的な研究例がほとんどなく溶岩名はついていないが、石材として「白丁場(しろちょうば)石」「白石」「相州みかげ」などの名がついている。元の色は青灰色から灰色の溶岩だったが、風雨にさらされることによって白色化した。(県立生命の星・地球博物館 山下 浩之)

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 白丁場石は、現在県立歴史博物館となっている旧横浜正金銀行本店本館(1904年竣工(しゅんこう)、国重要文化財)のほか、日本銀行本店本館(1896年竣工、国重要文化財)、迎賓館赤坂離宮(旧東宮御所、1909年竣工、国宝)などの近代洋風建築の外壁に花崗(かこう)岩(御影石)と併用されている。

 地上3階地下1階建ての旧横浜正金銀行本店では、白丁場石は2階と3階の平らな外壁の部分に使用されているが、写真を見ても白丁場石と花崗岩の使用箇所はほとんど判別がつかない。このように花崗岩と併用して違和感のない白い石材であったことと、花崗岩より低コストで加工できたことが白丁場石の強みであった。すでに採掘を終え、地元でも忘れ去られつつある「幻の石材」だ。
(県立歴史博物館 丹治 雄一)


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