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そごう30周年<1>船出 「世界最大級」掲げて

経済 神奈川新聞  2015年10月01日 12:50

式典の最後に30周年を祝うくす玉が割られた =30日午前10時ごろ、そごう横浜店正面入り口前
式典の最後に30周年を祝うくす玉が割られた =30日午前10時ごろ、そごう横浜店正面入り口前

 「それでは、どうぞ」。女性司会者の合図とともに金色のくす玉が割られると、大きな拍手が送られた。

 30日に開催されたそごう横浜店(横浜市西区)の開業30周年記念セレモニー。店長の岡田正俊(58)は、集まった大勢の客や関係者らの前で力を込めた。

 「歴史、文化、そして素晴らしい市民の皆さまに、私たちは支えられている。横浜のポテンシャルを生かし、新しい横浜を、皆さまとともにつくっていきたい」

「世界最大級の百貨店」をキャッチコピーに、横浜そごう(当時)が開業したのは1985年9月30日。午前10時、シンボルだった世界の人形時計が開店の時を告げると、関係者らによるセレモニーが盛大に催された。

 客足は終日途切れず、そごう前の横浜駅東口地下街ポルタを越えて駅東西連絡自由通路まで、あふれかえった。翌日の神奈川新聞は初日の来店客数は50万人、売上高は20億円に達したと報じている。

 85年4月に入社した“開店1期生”の一人で、現在は婦人服飾部ファッションアテンダントの大澤智子(53)は、その日の光景を鮮明に記憶している。

 ちょうど5年前の80年、そごう前に広がる地下街ポルタが開業したものの、東口の客の数は決して多くはなかった。「実際、どれほどのお客さまが来てくださるのか、想像もつかなかった。エスカレーターで大勢の方が昇ってくる様子を見て、胸にぐっとこみ上げてくるものがあった」

 同じく開店1期生で、現在はお得意様部で課長を務める小杉智之(53)。入社直後は、外商担当として県央地区の各戸を訪問、新規顧客を開拓する仕事を担った。

 創業の地・関西では抜群の認知度を誇ったそごうも当時、関東ではなじみが薄かった。秋の開業を伝え、カード会員の獲得を図るものの、訪問先の反応は鈍く「インターホン越しで拒否されるのは当たり前」。「そごうです」と告げているにもかかわらず、「相互銀行は結構です」と勘違いする人も少なくなかった。

 しかし中には新人の小杉を自分の息子の姿と重ね合わせたのか、「頑張ってね」とカード会員になってくれた主婦も。「飛び込みで開拓したお客さまの中には今も関係の続く人がいる。お客さまに育てられ、支えられた30年でしたね」

開業時の売り場面積は、約6万8400平方メートル。その広さは東洋一とされ、「好立地での巨艦店」というそごうの出店戦略の象徴的な店舗だった。

 注目されたのは規模だけではない。店内には本格的な美術館のほか、スタジオや約220台のテレビモニターを設置。店内のイベントなどを生中継したり、画面に触れると館内や商品の情報を提供するビデオテックスを置いたりと、ニューメディアの情報発信拠点としても話題を集めた。

 巨艦店の登場にとりわけ関心を寄せたのは、横浜駅西口の商業関係者たちだろう。西口では既に、横浜高島屋や横浜岡田屋モアーズなどが営業、県内屈指の繁華街となっていた。「確かに、脅威ではあった」。横浜岡田屋社長の岡田伸浩(62)は、振り返る。

 そごうの開業は、横浜駅東西の街づくりにおいて、大きな節目でもあった。

 =敬称略
◇ ◆ ◇
 そごう横浜店が開店30周年を迎えた。この間、店も周辺環境も大きな変化を遂げた。横浜駅東西の街の変遷を描くとともに、今後の展望、課題を探る。


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