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戦中上海に残した通帳返還 横浜の女性「いとしい」

社会 神奈川新聞  2015年10月01日 03:00

返還された預金通帳を手にし、表情を和らげる飯田さん=横浜税関
返還された預金通帳を手にし、表情を和らげる飯田さん=横浜税関

 終戦後に中国・上海引き揚げ者から現地の公館に託され、その後に横浜税関が保管していた預金通帳が30日、持ち主の飯田靖子さん(83)=横浜市磯子区=に返された。飯田さんは「表紙の色まで覚えていた。いとしい感じがする」と語った。

 返還されたのは、飯田さん名義の三菱銀行(当時)の普通貯金通帳1冊。表紙には、当時住んでいた「虹口(ホンキュウ)」の出張所の判が押されている。

 残高欄には手書きの「25000」の数字。通貨単位は「よく分からない」が、由来は鮮明な記憶が残っていた。「映画みたいな話。叔父が現地のフランス租界の競馬で大穴を当てて、親戚の子どもたちに分け与えてくれたお金だった」と飯田さん。

 上海に生まれ、終戦もかの地で中学1年の時に迎えた。戦時の暗い記憶も当然あるが、通帳が呼び起こしたのは何げない日常。叔父との思い出も「夏の日は連日、公園の水泳場に連れていってくれ、面倒を見てもらった」と語った。

 今回の返還は、引き揚げ者の預金通帳が同税関から遺族に戻されたという今夏の新聞記事が飯田さんの目に留まり、自身も問い合わせたのがきっかけ。同税関によると、近年も毎年数百件に上る照会があり、戦後70年の今年は400件近いという。


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