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更正支援の現場から(下) 「目標達成」切に願う

社会 神奈川新聞  2015年09月29日 10:30

保護司が定期的に集う一室に設けられた面接室。面談で使用したりする=横須賀市本町
保護司が定期的に集う一室に設けられた面接室。面談で使用したりする=横須賀市本町

 罪を犯した人たちの立ち直りを支える更生保護において保護司の役割は大きい。職親(しょくしん)プロジェクトにおいても、それは変わらない。

 横須賀市の建設会社セリエコーポレーション社長の岡本昌宏さん(40)は、仮退院者らを雇用し支援する中で「少年たちの相談に乗ってもらったり、保護司の先生方に助けられている部分が大きい」と実感する。

 保護司は法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員。保護観察官と協力して無償で少年院の仮退院者らの更生をサポートする。現在、全国に約4万8千人、県内には約1800人いる。

 主な活動は三つ。仮退院者らと定期面談し、自立できるよう助言したりする「保護観察」、円滑に社会参加できるよう仮退院前などに身元引受人の意思を確かめたりする「生活環境調整」、啓発活動を行ったりする「犯罪予防活動」だ。

 保護司歴10年の男性(73)は同社で2月から働き、無遅刻無欠勤を続けるサトル(21)=仮名=を担当した。これまで20人程度を担当してきたベテランだ。

 「居住予定の寮に何人で暮らすのか」「どんな部屋で生活するのか」。サトルにとって同社の寮が帰る場所で、岡本さんが身元引受人となる。そのため仮退院前の1月、岡本さんとも会って面談した。少年院収容者らについて「失敗した後、どうするかが重要」と話す岡本さんからは「社会復帰を助けたい」といった真摯な思いが伝わってきた。

 2月にサトルが仮退院し、働き始めてからの約2カ月間、1カ月に2回の頻度で面会した。

 保護観察対象者には「健全な生活態度を保つ」など全員が必ず守らなければならない「一般遵守事項」と、事件に至る経緯や内容などから個人に課される「特別遵守事項」があり、面会の場で、それぞれ守っているかを確認する。仕事の様子や交友関係、悩みがないかも聞き、助言をしていく。

 印象的だったのは「困った人を引き受けられるような社長になりたいです」と目標を語った際のサトルの様子だ。「目を見て話し、口調からも思いが伝わってきた。しっかりしていると感じた」。また、「(現場で)ものを取りに行くときには走っていくと教わりました。その行動が信頼関係につながるのです」とも話した。仕事に前向きに取り組む若者の姿があった。

 その様子は岡本さんに伝えた。「真面目過ぎて息切れしないか」。男性は逆に気になったが、杞憂(きゆう)に終わった。

 サトルは今夏、保護観察処分を終えたのだ。「前を向いて歩み、目標を達成してほしい」。切に願うのはこの1点だ。

 「個々に抱えている問題は異なる。良いところを認めてくれる人がいるか、やりがいを見つけられるかどうかで少年少女の場合はガラっと変わる。(社長や保護司らだけでなく)従業員、恋人といった周囲の支援は欠かせない」。多くの若者を見てきた別の男性保護司(75)は指摘する。

 非行から立ち直り、会社を切り盛りするようになった岡本さんも同じ思いを抱き、この10年間ほど更生支援を続けてきた。

 「人は変われる」と。

 

少年院の現状 現在、全国には52の少年院がある。法務省の少年矯正統計によると、少年院の年間収容者数は年々減少傾向にある。2014年に少年院に入ったのは2872人で前年より約320人少ない。男女の内訳では男性2653人、女性219人。非行理由としては男女ともに窃盗が最も多い。


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