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「小児ホスピス開設支援を」 横浜のNPO代表、余命充実へ呼び掛け

社会 神奈川新聞  2015年09月27日 11:27

「小児ホスピス」のイメージ図を手に、建設への夢を語る田川さん
「小児ホスピス」のイメージ図を手に、建設への夢を語る田川さん

 余命を宣告された子どもに楽しい時間が過ごせる場所を-。横浜に子どもの緩和ケア施設「小児ホスピス」をつくろうと活動している人たちがいる。中心にいるのは、NPO法人スマイルオブキッズ代表理事の田川尚登さん(58)。17年前に次女のはるかちゃん(6)を脳腫瘍で亡くして以来、難病の子や家族を支援する活動を続けてきた。「ホスピスの開設は娘から与えられた使命。何としても実現させたい」と支援を呼び掛けている。

 田川さんによると、小児ホスピスは難病や障害などで余命を告げられた子どもが残された時間を楽しく過ごし、親子で思い出をつくることができる場所。発祥の地とされる英国には50カ所以上あり、世界各地に広がりつつある。国内では2012年に「淀川キリスト教病院」(大阪市)で開設された。各地で設立を目指す動きはあるが、行政支援も乏しく、実現のハードルは高いのが現状だ。

 「今振り返ると、もっと充実した時間を過ごさせることができたのではと思ってしまいますね」。余命半年と告げられたはるかちゃんは県立こども医療センター(横浜市南区)に入院しつつ、週末には川崎市の自宅に戻る生活を5カ月間続けた。家族団欒(だんらん)や旅行など思い出を重ねたが、やりたいことを全部させてあげられたかという思いは今も胸に残る。「病院でできることは限られている。子どもに好きなことをさせられる環境が整ったホスピスがあれば絶対に利用した方が良い」

 NPOを立ち上げたのは、はるかちゃんが亡くなった5年後の03年。難病の子どもと家族の支援を目的に活動を広げ、08年に患者家族が低額で宿泊できる施設「リラのいえ」を同センター近くに開設した。稼働率は高く、年間約4千~5千人が利用するという。

 県内初の小児ホスピス建設構想は、元看護師の女性が13年に遺産の計1億500万円をNPOに寄付したことで動き始めた。ホスピスづくりが夢だったという女性の遺志を継ごうと、昨年8月に準備委員会を発足。「3年で3億円」を目標にチャリティーコンサートや寄付を募るなどして約3千万円を集め、今年8月には横浜市の老夫婦から1億円が寄せられた。

 準備委員会が描くホスピスの姿は自然環境に恵まれ、木のぬくもりが優しい施設。病院が近く看護師が常駐し、家族が泊まれる広い個室や食堂、風呂も完備し、看取(みと)りの部屋も備える。候補地として海や遊園地、横浜市大付属病院などがある横浜市金沢区内を想定している。

 「残された時間をいかに良いものにしてあげられるかという制度や仕組みが今の小児難病医療にはない」と田川さん。ホスピスの役割について「子どもは死ぬ瞬間まで成長している。ホスピスで楽しい時間を過ごすことで余命が延びるかもしれない」と強調する。

 NPOの名前に込めた夢の実現まであと6千万円-。「子どもも親も、みんなが笑顔になることが理想。笑顔こそが最高の治療薬なんですよ」と笑った。

 寄付についての問い合わせは、田川さん電話090(1432)7694。


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