1. ホーム
  2. カルチャー
  3. トホホ釣り日誌【6】終盤の相模川のアユの友釣り

大型の追い強烈
トホホ釣り日誌【6】終盤の相模川のアユの友釣り

カルチャー 神奈川新聞  2015年09月18日 12:00

耳にすがしい瀬音を聞きながら高田橋近く、太公望らがさおを出す
耳にすがしい瀬音を聞きながら高田橋近く、太公望らがさおを出す

 今年は相模川でアユの遡(そ)上が戦後三番目に多く。野性味たっぷりの天然物が期待大。特に餌をたくさん食べて良型になる9月以降は、友釣りの肝になる「追い」もパワーアップ。神奈川近県の太公望たちも、「天然物の強烈な手応えがいい」と遠距離をいとわずやってくる。終盤の絶頂期を迎える時季、相模川上流部を熟知する山口芳郎県内水面漁業振興会会長とともに、高田橋周辺(相模原市中央区)で挑んできた。

餌なしで攻める

 アユは海と川を行き来する1年魚。10月以降、川で産卵。ふ化した稚魚は海に下り、5~10センチぐらいに育つと、翌年の3~5月ごろに川をさかのぼる。このころは、水生昆虫などを食べている。


優美な姿から繰り出すパワーが終盤戦のアユの魅力だ
優美な姿から繰り出すパワーが終盤戦のアユの魅力だ


 上流にさかのぼり、石に付着したあか(ケイ藻)を食べ始めると、餌確保のため、石の周りに縄張りをつくり、縄張り主は侵入してきたアユを体当たりで撃退(追いのこと)、自分の領域を守る習性がある。

 生き餌を食べないアユを釣るには、と編み出されたのがこの習性を利用した日本独特の釣法、友釣り。おとりのアユに魚を引っかけるいかり針を付け、縄張りに入れて、追わせて釣る、というものだ。

 今のような形になったのは一説によると、100年余り前、伊豆の狩野川で漁師が始めたものといわれている。

「石を釣れ」が基本

 さて、実戦。釣り場は高田橋周辺。山口さんは相模川第一漁業協同組合の役員で、玄人はだしが多い組合員のアユ友釣り大会で上位入賞するなど名手でもある。まず、岸辺に立って教えてくれたのが、「アユは石を釣るのが基本」ということだった。アユが石、特に大きめの石に縄張りを張っているからだという。

 目印になるのは、水面下にある石にぶつかった川の流れが、下流で「モヤモヤ」とわき上がって見えたり、泡立って見えるようなところ。偏向グラスを付けて、そんな場所を見ると、「キラッ。キラッ」と川底で魚体をくねらせながら、あかを食べているアユが見えた。「よっしゃっ。いっぱいいる。釣ってやる」とギュッと握りこぶしを固めていた。

魚影濃いのになぁ

 山口さんが、弱らせないように水中でおとりアユの鼻の穴に金属の輪(鼻環・はなかん)を付け、腹びれに針を掛けて、いかり針を尾びれの後ろに少し長めに垂らして、仕掛けのセットが完了した。

 山口さんは9メートルの長さおを肩にズンズンと川の中に入り、めぼしい石を攻め始めた。このときの山口さんのスタイルは一般的なアユ釣りの装備をまとっていた=写真。


アユ釣りの基本的なスタイル。ズボンのように履く防水のウエーダーは必需品だ
アユ釣りの基本的なスタイル。ズボンのように履く防水のウエーダーは必需品だ

 
 いくつめかの石を攻めていたとき、ガクンとさお先が曲がった。アユが掛かったサインだ。スッとさおをあおり、アユを水中から引き抜き、腰に差していたたもで、おとりアユともども取り込んだ。

 「さあ。記者さんの番だよ」とさおを渡してくれたが、太っている記者に合うウエーダー(ゴム製のウエットスーツ)がなく、岸辺からの挑戦に。ウエーダー姿の太公望も岸辺から釣っている人もいるので、勝負はできるはず。

 待てど暮らせど、当たりが来ない。「アユ、魚影濃いのになぁ」と腕が悪いことを棚に上げ、業を煮やした記者は、さおを山口さんに渡し、取材に出掛けることにした。

水面近くにいない

 東京都東久留米市から来た小林豊美さんは、ほっかむりをして、暑さを避けていたが、声をかけて釣ったアユを見せてもらった。大きさは18~20センチの天然物だ。「ここは大きな川で、天然物の遡上も多いから、追いが強くて楽しいよ。終盤は釣り人がワクワクする時季だよ」とにっこり。

 また、同立川市の斎藤智さんは「首都圏で、河原まで車で入れて、目の前に釣り場があるのは便利でいい」と教えてくれた。

 ひとしきり取材を終えて帰ってみると、山口さん、アユをあっという間に10匹釣っていた。「さすが、名人。また、手ほどきお願いします」と釣り再開。

 おとりアユを泳がしているのだが、川底近くにいるアユの近くに安定して入れられない。「記者さん。そんな水面近くにいないよ」と指導されるが、うまくいかない。そのうち、小雨が降り出して、ギブアップ。「やっぱりアユの友釣りは難しい。経験が乏しいのに、その日に来て、ぱっと簡単には釣れない。でも釣れる人は釣れるんだろうな」と、ブツブツ言いながら川を後にした。塩焼き、食べたかったなー。

 今年の相模川は天然遡上が多く、上流部は7月末ぐらいから本格化するのだが、解禁日から好調に釣れていた。水温は20~23度と適温で、あか付も良好。型は16~22センチ。数は12~40匹で、50匹を超えることもある。


良型のアユがたもの中で跳ねた
良型のアユがたもの中で跳ねた

 山口さんは「まだまだ暑い日があります。アユの釣りは、動きが活発な朝夕狙いがお薦めです。釣期は10月14日までです」と話している。


山口芳郎理事長のひと言
山口芳郎理事長のひと言

 2015年のアユの遡上は1073万匹。02年の2185万匹、04年の1976万匹に続き、戦後3番目の数です。天然物の追いを楽しんでください。

 放流ですが、海産と養殖約11トンを放流。今年は「F2」と呼ばれる養殖2世代で、野生種に近い養殖物を約6トン放流、合計約17トンでした。F2は冷たい水にも強く、定着率も高いので、資源保護の観点から期待しています。

 注意事項ですが、大雨や雷があった場合は、ただちに釣りをやめ、安全な場所に避難してください。組合員が指示を出すこともありますので、従ってください。


アユの仕掛け
アユの仕掛け


メモ
▽年券1万円、日券千円、現場券1500円。
▽おとりアユ 1匹500円。
▽問い合わせは相模川第一漁業協同組合
でんわ 042(763)2726


シェアする