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「安倍政権は反知性主義」
【動画】横浜地方公聴会・安保法案審議

政治行政 神奈川新聞  2015年09月16日 12:45

 参院平和安全法制特別委員会の安全保障関連法案をめぐる地方公聴会が16日午後1時から横浜市港北区のホテルで開かれた。約2時間半にわたり、自衛隊元幹部や弁護士らが法案に関する見解を述べた。


 意見表明する「公述人」は4人。与党は伊藤俊幸・前海上自衛隊呉地方総監、渡部恒雄・東京財団上席研究員(安全保障政策)を推薦。野党は広渡清吾・専修大教授(法学)、水上貴央弁護士を推薦した。意見表明の後、与野党11会派がそれぞれ質疑を行った。


広渡清吾氏(専修大学教授、東京大学名誉教授・元副学長、前日本学術会議会長)=野党推薦



 安保法案に反対する学者の会の一因であり、、これまで国民の反対運動がどのように広がっているかを簡単に紹介します。学者の会は6月15日に最初の記者会見を開き、現在学者の賛同者は1万3988名となっています。8月26日には全国から東京に集まり、法案反対の記者会見を行い、現時点で全国137の大学で法案反対有志の会が設立されている。普段政治的な活動になじみのない学者の運動がこのように広がっているのはかつてないことです。
このかつてない運動は学者だけでなく、高校生や大学生、ママさんたち、中年世代、高齢者でも、そして社会の各分野で生まれていて法案反対は文字通り国民の全階層に広がっている。理由は言うまでもない。今日本国民の多くが戦後70年の間、憲法でつくられてきた国家社会の柱である平和主義、民主主義、立憲主義に危機があることを認識し、安保法案によって覆されてしまうからだ。

 平和主義とは国際紛争を決して武力で解決しない。憲法9条でも明確に規定している。安保法案は安倍首相が積極的平和主義の名のもとに、集団的自衛権の行使によって自ら進んで他国に戦争を仕掛けること、外国軍隊の後方支援の名目で限りなく武力行使と一体化する行動を起こすこと、PKOにおいて任務遂行のために武器使用を拡大することを内容にしている。安保法案はこれらを通じて自衛隊を武力行使する軍隊として、自衛隊が人を殺す時代をつくるものであり、それ故に多くの人がこれを戦争法案と呼んでいる。

 安倍首相が主張する積極的平和主義はこれまでの平和主義とは正反対で、武力の積極的使用を意味している。政権は法案の合憲性を言い続け、根拠に最高裁の砂川判決を引用している。しかし、これは曲解であり、この問題に関して発言しているほとんどの法律家、憲法学者や日本弁護士連合会、歴代の内閣法制局、元裁判官、さらには元最高裁長官までも法案を違憲だと言っている。集団的自衛権はある国が他国に武力攻撃を行う場合、日本が武力攻撃されていないのに他国を助けて武力攻撃するというものだ。そうなれば当然日本は反撃されて戦争になるだろう。安倍首相は集団的自衛権は認めても9条の整合性は保たれていると主張したが、これは国民を欺くものだ。

 これまで政府と国会で承認されてきた9条解釈によれば、9条のもとでは我が国に対する武力攻撃が行われ、国民を守るために他に手段がないときに必要最小限の範囲で武力行使は許されるものであり、集団的自衛権はそれを超えるものであるから当然に認められないとされている。安倍政権の新しい解釈は集団的自衛権もこれまで認められてきた個別的自衛権と同じように国民を守るために他に手段がなくやむを得ず必要最小限で武力を行使するのであるから論理的整合性と法的安定性は保たれていると説明している。しかし、この説明は一方で、我が国が攻撃されて発令する自衛権と、他国が攻撃を受けたときに助ける他衛権の2つの本質について似たようにすることで、あたかも同質であるかのようにしているにすぎない。

 また集団的自衛権が具体的にどのような必要性のために使われるのか、いわゆる立法事実も、またどのような要件で出動されるのかどうかというのも国会審議を見る限りでは極めて不透明だ。政府答弁は集団的自衛権を認めてさえすれば、あとは政府が適切に行使しますということに希釈するものに思われる。これは絶対に認められない。法案の内容とともに問題なのは、その審議の進め方が民主主義と立憲主義に対する挑戦だということだ。安倍首相は「決めるときに決めるのが民主主義だ」と言い、この4月に米国に法案成立を約束した手前もあり、今国会で成立させたいつもりのようだ。しかし深刻な問題は、国会の多数派と国民の多数派のねじれだ。国会の多数派は選挙の投票における国民の主権行使によって成立したが、しかし主権者国民はその多数派に全くの白紙委任を与えたわけではない。ましてや安保法案は憲法の平和主義を変えようとする重大な内容を持つものだ。主権者国民を選挙のときだけの主権者にすることは民主主義を形骸化させる。安保法案は審議が進むほど重大な問題点が続出し、国会が議論を尽くしたとは大多数の国民が考えていない。現在の民意に耳を傾けることこそ、政治家の責務であり、安保法案の強行は民意を無視し、民主主義、国民主権に背くものだ。安保法案が立憲主義に挑戦するということは、9条の解釈を変更して集団的自衛権を認めた2014年7月の安倍政権の閣議決定に始まっている。憲法改正は衆参総議員の3分の2以上の発議に基づき、国民投票によってのみ決定される。憲法改正は主権者国民が直接に行使する権限だ。

 このような保障によって、憲法は国会の多数派と政府の権力行使を批判的にチェックする役割を持っている。安倍政権は憲法の全面改正を目指している。安倍首相は96条が規定する憲法改正決議のハードルを下げるために96条を先行して改正することを求めた。しかし国民の反発は大きく憲法全面改正も当面困難だという状況のもとで、集団的自衛権を認め、9条を骨抜きにするというのが7月の閣議決定だった。政府の権力をチェックする憲法をチェックされる政府が自分の都合の良いように変更したというのが事態の本質だ。安保法案は7月閣議決定を受け、今年4月日米両政府が合意した新たな日米協力のための指針、いわゆる新ガイドラインを得て国会に上程されたものだ。新ガイドラインは行政のもとで9条の骨抜きに既成事実化していることを示している。その事態は憲法の立憲主義の危機を示している。日本は憲法9条のもと戦後70年間、武力行使をしない国として世界から信頼を勝ち得てきた。憲法の平和主義は戦後の対外関係の土台であり、日本外交最大の資産と考えるべきだ。平和主義の基礎には戦後憲法が確立した個人の尊厳の原理がある。武力行使は人を殺傷することを目的とし、自分が殺傷されることも当然含む。このことが個人の尊厳と両立しないことは誰が考えても明らかだ。武力の行使が問題問題を解決するものではなく、問題を生み出すものであることは、現にヨーロッパに押し寄せる難民問題で明らかだ。安保法案で米国との同盟を強化する道は個人の尊厳に基礎づけられた日本国家の高い志と道議性を否定するものだ。
最後に参議院の皆さんにお願いしたい。違憲の法案を国民の過半数の意思を無視することにいかなる同意もない。二院制の下、参議院の良識に基づいて、全ての議員の皆さんが国民の代表として、党議拘束から離れて、国民の反対と不安を自分の目で認識し法案の違憲性を判断して、法案を廃案にするために行動してほしい。

水上貴央氏(弁護士・青山学院大学法務研究家助教)=野党推薦



 さて、公聴会とは特に重要な法案については学識経験者らの意見を聞いて慎重かつ充実した審議を行うものと理解している。昨日の公聴会も拝見したが、元最高裁判事の浜田先生がこの法案を明確に違憲と断じ、今後裁判手続きで違憲無効判決が出ることにも言及されるなど極めて重要な意見を述べられていた。奥田公述人の素晴らしい言葉で心動かされた人もいるだろう。しかしその後の委員会で、本日この後さらに審議して終局という日程が強行された。私は一介の弁護士に過ぎませんが、それでも業務の内容を変更してこの場に来ている。本日臨席している公述人は皆忙しい方ばかり。そういった人たちが日常の仕事を調整してまで公聴会に参加しているのは、1人1人の国民が民主主義の一端を担っているという自覚からだ。公聴会で公述することがより実のある審議に帰すると考えるから参加している。

 私は昨日の公聴会を拝見して、この国の民主主義に希望を持ち、一方、その後の理事会を見てこの国の民主主義に絶望しつつあり。この公聴会が採決までの単なるセレモニーにすぎず、茶番に過ぎないのであれば私はあえて意見を述べるつもりはない。委員長、公述の前提として伺いたい。この横浜地方公聴会は慎重で十分な審議を行うための会なのか。それとも採決までの単なるセレモニーなのか。

(鴻池委員長)その件については各党の理事間協議において横浜地方公聴会が決まった。その後段についてはいまだに協議は整っていない。

 ぜひとも公聴会を開いた甲斐があったと言えるような十分かつ慎重な審議をお願いしたい。
それでは意見を申し上げたい。すでにだいぶ持ち時間を過ぎてしまった。資料4に主張したいことが書かれているので是非そちらをご覧下さい。

 ここでは特に重要な点に絞ってお話したい。
 まず後方支援に関する問題について。この法案が重要影響地帯において後方支援をして世界中の戦闘地域に隣接するものを含めた現に戦闘が行われている現場以外において、発艦準備中の戦闘機に弾薬の補給まで行えるとしている。この行為が武力行使との一体化として9条に反するのではないかというのが問題になっている。これを考えるに当たって、逆に日本が攻撃されている場面を考えることが重要だ。例えば、まず我が国に対してA国が攻撃してきている場合。具体的には我が国にA国が爆撃機がミサイルで攻撃して、撃ち終わった爆撃機が再び我が国の公海のすぐ外で弾薬を補給を受ける場面。これは政府の説明でも当然に個別的自衛権を行使できる場面だ。

 次のケース。これはA国の補給艦の部分をB国が行ったらどうなるか。国際法上の常識から考えたら、当然B国に対しても少なくともこの事例、爆撃機に対して弾薬を補給してすぎにその爆撃機が日本を攻撃しに来るという事案においては、B国の補給艦に対して個別的自衛権を行使できるはず。というのはこのような武力攻撃というのはまさに密接不可分な行為を行うことは、もはや中立国の行為とは認められず、このB国自体が交戦国となってしまうので、国際法上はB国の補給艦は軍事目的になる。従って、当然個別的自衛権が行使できるはず。逆に言えば、これができないとなると、日本はずっと孤立になってしまう。我が国の安全保障は極めて深刻な影響を与えることになる。

 ところが、今回政府はこのようなB国に対して自衛権を行使できないと答弁された。どういうことかというと次のページを見ると、B国が日本になった場合どうなるのか。
例えば米国がA国になり、その補給をするのが日本になった場合。日本はその米国から攻撃を受けている他国から個別的自衛権を行使されるのかというとき、個別自衛権が行使されるとなると、個別的自衛権の行使の対象は武力攻撃だから、日本がやっているのは米国と一体化した武力行使ということになってしまう。日本はこの行為を武力行使と一体化していないと説明するためには、B国に対しても反撃できないと言わざるを得ない。これは明らかに全世界で米国の武力攻撃を支援するために我が国の自国防衛を犠牲にしたということだ。むしろ我が国の安全保障を重要だと考えるのだとすれば、このような法律を作ってはいけない。一方でそのことを追及された政府はその後の答弁で、このような場合においても「B国に対して個別的自衛権を行使できる場合がある」という答弁に変えた。答弁を変えること自体問題だが、今度はもしここにB国に対する個別的自衛権が行使できるのであれば、やはりB国の立場に日本がなった場合に、これは武力行使と一体化しているのではないかという問題が生じる。つまり違憲なのだ。どういうことかというと、この法案は実体において違憲な武力行使と極めて密接な準備行使を行い、それを隠し立てするために我が国の個別的自衛権を犠牲にしている法案だ。政府与党が本当な日本の安保を重視し、我が国を守ろうと思うのであれば、どうしてこのような違憲で、それを隠すために自国防衛を犠牲にするような法律を作るのか。この法案はどこを向いて作られているのでしょうか。これがまず1つ重大な問題だ。

 もう1つ、自衛官による武器使用も重要な問題です。法案では他国の武器などを守るために自衛官が武器を使用して守れるとしている。この主語は自衛官。そしてこの守る対象の武器には艦船や航空機が含まれている。どういうことかと言うと、自衛官個人が米国のイージス艦を武器を使って守るというとんでもない規定になっている。このように明らかな不合理な条文になっている。この行為をもしも我が国が組織的にやっていることになれば、明確に武力の行使になる。武力行使と言われないやめには自衛官個人がやったということにしなければならない。しかし、条文の自衛官と書いたからといって、この法案の本質は変わるでしょうか。実際には明らかに武力行使だ。さらに言えば、この場合には新3要件の縛りはない。つまりこれは完全にフルスペックの集団的自衛権だ。政府はこの条文においてフルスペックの集団的自衛権を認めている。限定されてもいない。この条文は明確な違憲だ。

 この不合理な条文で一番しわ寄せを受けるのは自衛官。この条文の主語は自衛官。もし万が一他国が自国の民間船を盾にして攻撃してきたとき、それを自衛官が守って、正当防衛や緊急避難を成立させない場合、自衛官個人が責任を持つことになる。我が国の刑法または攻撃してきた国の国内法で罰せられる可能性がある。自衛官が自衛隊法122条2の条文で、上官の命令に従わなければ罰則が加えられる。自衛官が上官の命令でやむを得ず武器を使用した結果、正当防衛や緊急避難が成立しなければ罰せられる可能性がある。これは自衛官の皆さんに胸が張れますか。我が国を守ってくれている人たちに。
このように、この法律自体が欠陥法案で、極めて不当な結論を導く不当法案だ。従って政府はまず改めるべきところは改め、合憲の枠組みををつくれるのかを模索すべきだ。

 国会は立法するところだ。政府に白紙委任を与える場所ではない。ここまでの重要な問題が審議で明確になり、今の法案が政府の説明とも乖離があり、その法案を通してしまうようでは、国会の存在意義はない。これは単なる多数決主義であって、民主主義ではありません。参議院がその良識を放棄したと国民に判断されないためにはまさにしっかりした審議を尽くすべき。参議院が良識を放棄したらそれこそ国民はすれば参院の存在意義を決して認めない。今こそ参議院の先生の良識に期待し、我々は注視していく。

伊藤俊幸氏(前海上自衛隊呉地方総監・海将)=与党推薦



先月まで海上自衛隊呉地方総監におり、幹部自衛官として法案に賛成の立場から意見を述べる。

我が国の平和と独立を守ることが自衛隊の使命です。
平和を守るとは、いまの平和の状態を維持し、戦わなくて済むようにすることです。我が国は外交等、あらゆる平和的手段を用いて平和を維持する努力をしています。その一つは抑止力を高めることだ。日米安全保障条約にもとづき、米軍とともに活動することで抑止力はさらに高まる。
中国は南シナ海を占領してしまった。同じことが東シナ海でも起きている。
突然、1999年から海軍関係のパトロールを始めた。しかし、16年たった今も尖閣諸島は占領されていない。尖閣では中国の巡視船は基本的にはおとなしくしている。なぜか。東シナ海では、中国に対しては一定の抑止が効いているからだ。平和安全法制は、さらに抑止力を高めるための法律だ。

我が国は、抑止力が効果を発揮できず、他国からの侵略が始まった場合、自衛権を発動して対処することになる。対処方法を決めるため、旧3要件があった。その3要件目、必要最低限度の実力行使することを認めている。これは非常に大事。憲法9条2項で交戦権を否定している我が国に武力行使は、相手国からの攻撃を排除することだけを言う。それ以上の行為、すなわち、相手国の領域に入り、反撃、攻撃することはできない。反撃に転じて、相手を撃つことはできない。我が国が直接攻撃を受ける日本有事の場合であっても、日本の領海、領土、領空、公海、そしてその上空に存在し、我が国に攻撃を加えてくる相手国の攻撃、軍艦、ミサイルを排除することだけを武力行使と称する。

必要最小限の武力行使は、新3要件も旧3要件も全く変わっていない。
我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の要件が加わった。この文言の後ろには「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」という憲法13条で国政上最大尊重しなければいけない権利が加えられている。
「他国に対する武力攻撃」とはどのようなものをいうか。他国ではなく、他国軍隊に対する武力攻撃と読みかえると、分かりやすい。
朝鮮半島に有事が起きたとする。もう一度、朝鮮半島有事となれば国連軍が立ち上がる。国連に寄与する、外国軍隊にも寄与できるようにしたのが重要影響事態法だ。日本有事ではないものの、危険が予測される事態、グレーンゾーン事態で他国軍隊が我が国を守ることは十分あり得る。

これまでの旧3要件での考え方は、我が国を守ってくれているのに、他国軍隊への粉をはらいのけることもできない。これをできるようにしたのが、存立危機事態法です。緊密な信頼関係を築くことで、抑止力を高めること、今回の平和安全法制の本幹はここにある。集団的安全保障措置は平和を維持する基本的な考え方。国際安全保障の変化に対応し、平時から抑止力を高めるため、国連を中心とする活動に国際社会の一員として積極的に参加することで、信頼される日本として友好国を増やすため、なすべきことを盛り込んだ平和安全法制の成立を求める。

渡部恒雄氏(東京財団上席研究員)=与党推薦



日本と米国のシンクタンクで安全保障政策について研究してきた。一研究員として意見を述べる。今回の安保法制の審議、現実と極端に乖離した審議に不安を覚える。不要な警戒を与え、結果的に日本にいい影響を及ぼさない。
日本を取り巻く安全保障環境の変化を理解することが必要。
いまの安全保障体制は、冷戦期に対応してつくられたもので、いまの国際状況には対応しきれていない。これまで何もしてこなかったわけではない。周辺事態法があったが、これは集団的自衛権を行使しないという制約があった。テロ特措法は、2年間の時限立法だった。新しい法律がなければ、現在の日本を取り巻く安全保障環境の変化に対応できない。

国際テロの脅威は深刻し、テロとの戦いは現在も続いている。
さらに日本に突きつけられた状況が、尖閣諸島周辺に中国が漁船や巡視船を送るようになったことが認識されたいわゆるグレーゾーン事態です。もし尖閣諸島に国籍不明の武装勢力が上陸した場合、明らかな有事ではない。でも、平時でもない。現在の法律は想定していないため、対応できない。今回の法案は、日本がより確実に防衛すること、世界の平和を法的に担保されるものだ。日本を取り巻く環境を安定させて、日本が侵略されるリスクを減らすものだ。
日本の安全を日本だけで守れないことは明らかだ。米国という世界最強の軍事力を持つ同盟国との共同対処が想定されているからこそ、そうではない場合に比べて少ないリスクと予算で自国を確実に守ることができる。
国民の中に不安がある。日本のリスクが増えるのでは、と。しかし、国際環境が変わっているのに古い想定のままだと、適切な行動が取れず、むしろ日本の平和が損なうことになりかねない。今回の法制の重要な目的の一つは、日本の防衛、東アジア地域の平和に極めて重要な役割を果たしている米軍のプレゼンス、および日米同盟をより持続的に安定的にさせる措置であると理解している。
集団的自衛権の一部行使を認めて、米国や関係国に協力することを可能にした。共同訓練をすることで、いざというときに、同盟が機能するだけでなく、潜在的な挑戦者にみせておくことで、軍事攻撃をためらわせ、事前に攻撃を防ぐことができる。

米国の戦争に巻き込まれるのでは、という不安もあると思う。
「巻き込まれる、の恐怖」の一方で、「見捨てられる、の恐怖」がある。
日本が戦争に巻き込まれるリスクは、人々が思っているほど大きくない。
今回の法制では、国連PKOにしても、武力攻撃が必要なミッションは想定されていない。そもそも、いまの米国が日本に武力行使を要請することは考えにくい。米国はそれぞれの地域に友好国がいるからだ。

一方、朝鮮半島有事が起きたとする。日本が米軍や韓国軍に適切な協力をせずに、事態が悪化すれば、日本にも危険が及ぶことを覚悟しなければならない。これは日本の防衛に限りなく近い状況ですから、このような状況は米国の戦争に巻き込まれるという恐れはない。ただし、日本が自国に閉じこもって何もせず、その後、幸いにも事態は落ち着いたとなったとき、日本の平和が守られということで一時的には得したことになるかもしれないが、米国からみれば、同盟国の日本への信頼は大きく低まり、日本が見捨てられるリスクは大きくなる。

日米同盟も必要だが、今後は東アジアの国々と信頼を築いていくことが大事だ。
今回の安保法案は、憲法9条の精神をかえるものではない。想像できる最悪の事態に対処していくことが、後世のために必要なことだと考える。



【公述人に対する質疑】(敬称略)
Q:堀井巌(自民)
安全保障環境がどのように変化してきたかということを伺いたい。
伊藤氏に伺いたいが、30年前といまとの安全保障環境とはどのように変化が生じているのか。
A:伊藤
中国海域、10年前には考えられないくらいどんどん中国は活動範囲を積極的に広げている。東シナ海、抑止力が効いていないということはない。ただ、底を強化する必要があり、抑止力を高めることが必要。ベトナムが典型。彼らは、ここ2年くらい、ベトナム軍の幹部と会うと、一緒になって「声を上げてくれ」という。

Q:堀井
戦争を抑止する、平和を維持する法案と理解している。明白な危険がある場合に限ってだが、日本の艦船も反撃するかもしれないということが抑止力の強化につながる、我が国と米国の信頼強化につながると思うが、どうお考えか。
A:伊藤
いまの状態だと、他国から「どうせ自衛隊は何もしない」と甘くみられている。必要最小限の実力行使というのは「反撃」ではない。反撃ではなく、攻撃でもなく、きたものを「払いのける」だけで、それは変わらない。一緒にいる米軍にくる火の粉を払いのけるだけ。「反撃」ではなく、「排除」です。

Q:堀井
国際社会の中で、今回の法案がどう受け止められているか。
A:渡部
各国いろいろな反応があるが、東南アジアをはじめ、中国の強圧的な態度に懸念を持っているところは、日本が平和安定のために日本が果たす役割は大きいと考えている。「内向き」ではなく、積極的にやってくれと考えている。日本のメディアは「戦争法案」というので、韓国メディアから「そうなのか」と聞かれたことがある。国会では、冷静な議論をお願いしたい。


Q:平木大作(公明)
自衛権行使のための新3要件について、どのようにご覧になっているか。
A:渡部
大事なことは、防衛の行動をしなければならないということ。過剰にやりすぎてはいけない、しかしきちんとした防衛もしなければならない。ある程度の想定の枠の中で、いろいろなケースが想定される。非常に危ないところまでいかない、というのが歯止め。新3要件は心配するような要件ではない。これ以上厳しくするとかえって適切な防衛ができないので、危なくなる。過度に非現実的だとうまく機能しない。

Q:平木
安全保障政策上、米国が日本に対して期待していることはどんなことなのか。
A:渡部
地域における安定。日本と米国とが共同作戦で日々、行動することにより、地域が安定している。今回の法案は、そういうものをより強固にしていく。日米だけではなく、韓国、オーストラリア、あるいは東南アジアの国々も含めて、戦争の種を減らしていく。こういうことを米国の専門家は考えていると思う。
米国だって、「巻き込まれる」恐怖はある。日本と中国が紛争になり、そこに巻き込まれるのは嫌だという恐怖はある。国際関係のそれぞれの思惑を勘案しながら、日本は難しい安全保障政策をつくっていく必要がある。

Q:平木
今回の法案は、抑止力を高めて、紛争を未然に防ぐというころにあると考えているが、周辺国から疑念、懸念というものについてはどう考えるか。
A:伊藤
安全保障のジレンマにおいて、法的なものを改正する、軍事を拡大するときには常に疑念、懸念を持たれる。日韓中の首脳会談が開かれるのではという報道も出ているが、そういうことが必要だ。そういう意味で、戦後70年談話も、直接的ではないが、心理的に効果があったと考える。


Q:那谷屋正義(民主)
生まれ育った横浜で大事な法案の地方公聴会が行われること、市民の思いを受け止めて10分間質問したい。まず鴻池委員長に申し上げたい。昨日の中央公聴会であれだけ充実した国民に分かりやすいやりとりが行われ、これからますます審議を深めなければいけないと誰もがそのように思ったはずだった。その直後にこの地方公聴会後に委員会を開くことを職権で決めたことは、大変遺憾で許せないこと。しっかり抗議したい。その上で、広渡氏と渡部氏に聞きたい。こうした委員会の動きを一国民としてどう思うか。
A:広渡
今日の公聴会に来る間に、さきほど水上さんがおっしゃったことを私も冒頭委員長にお尋ねするか迷った。公聴会は本当は国会の審議が渦中にあるときに、さあこれから国民の声を聞いて審議を進めようというときに行うのが誰もが考えるプロセスだと思う。しかし、今日この後強行採決されるというなら参議院の良識が問われる。参院は良識の府のはずだ。その点をよくくんで判断してほしい。
A:渡部
運営に関して専門外なのでコメントしないが、議論の内容はどうしても深まらない。極論と極論をぶつけているので全然深まらないままここまで来てしまったと私は見ている。そういう意味では国会の議論のあり方はきちんと考えてほしいとは私も思っている。もう一つは安保は一刻を争うもの。拙速はいけないが、あまりだらだらというものでもない。限界はあると感じている。
Q:那谷屋
法案に関する審議の中で、国民にも国際的にも分かりにくい言葉が実はいくつかある。その典型が「限定的な集団的自衛権」だ。これは国際法上ありえない言葉。安倍政権がつくったこの言葉。結局どういう問題があるのか。
A:水上
違憲ということだ。確定した憲法の解釈に反するため。憲法解釈には一定の解釈の幅というのはあるが、過去確定して違憲だと考えられていたものを合憲だと勝手に解釈を加えられてしまうと、憲法の存在意義がなくなる。憲法は他の法律よりも厳しい改正手続きを踏んでいるのだから、時の政権が解釈を変えられない。これは「解釈改憲禁止論」というもので、政府を含めて我が国の常識だ。この点から考えて今回の限定的集団的自衛権は確定した憲法解釈に反するもので違憲だ。
2つめは法案レベルで政府の説明している内容とと法文の内容が違うということだ。例えば新3要件のうち、第2、第3要件というものがどのような形で法律に定められているか、多くの国民は十分な説明を受けているとはいえない。実は武力行使の明確な要件としては書かれていない。この点は法律上の欠陥だと言える。
さらに制作レベルでも不当だということだ。つまり立法事実がない。これはこの法律を作らなければいけないという理由のこと。元々憲法9条は武力行使を全面的に禁止している。限定的に何かができるという法律を作るとなれば、どうしてもその法律を作らなければならないという理由、必然がない限り作れない。しかしながら、政府はホムルズ海峡の事例についてはもはや「具体的には想定していない」と答えたし、日本海有事の場合で、米国の艦船のミサイルが飛んできたという場合には存立危機事態を認定することは間に合わない。少なくても閣議決定が必要だ。もしやろうとすれば自衛官の武器使用で守るしかない。存立危機事態については立法事実の最も大きな2つが失われた。政府は次の国会までにこの法案を作らなければいけないという事実をお示ししないといけない。立法事実がない限り法律は作れない。違憲なのも作れないが。
最後に1点補足したい。政府与党の問題ある国会答弁について。平成16年1月26日の衆院予算委員会で当時の安倍委員(現首相)が質問した。今でも一貫してぶれていないが、自衛権の行使は必要最小限であればいいという考え方。つまり数量的な考え方が安倍委員の見解。必要最小限度であれば集団的自衛権の範疇に入ってもいいと質問をしていた。それに対して当時の秋山内閣法制局長官が「我が国に攻撃されていないのに我が国が反撃して武力を行使することはそれ自体がただちに必要最小限度を超える」と答弁している。つまりどういうことか。我が国への武力攻撃というのは、独自の必要条件だと言っている。必要最小限であれば我が国への武力攻撃はなくてもいいという解釈は成り立たないと当時の法制局長官が当時の安倍委員に説明している。つまり今回の限定的集団的自衛権というものを、今の横畑法制局長官は初めて出てきた議論のように説明しているが、過去6年に1回くらい国会で議論されている。当時の法の番人としての地位を確立していた内閣法制局が否定して押し返しているという歴史的経緯がある。今回の自衛権の行使が我が国への武力行使が必要だということは確定的な憲法解釈であることは明らかで、そこを変更することは基本的な考え方の枠組みを変更することになるので違法な解釈となる。従って違憲だ。


Q:清水貴之氏(維新)
水上公述人のご指摘とおり、この後、国会で締めくくりの総括質疑が予定されている。我々もこの公聴会の声を次の質疑を生かしていきたいが強く抗議している。仮に先に締めくくり総括があると分かった段階で公述のオファーあったらどうしたか
A:水上
私は冒頭委員長に公聴会は茶番ではなくて審議尽くすものですかと質問したとき、鴻池委員長は力強く頷いてしっかり審議をしていただくとのご意見をいただいたので、その後意見を述べた。もしそういったお答えをいただけなければ意見を言うつもりはなかった。これが私の答え。
Q:清水
国民の反対の声は大きくなっている。皆さんも生の声もたくさん聞いているだろう。もしこのまま数の力で法案が成立した場合、さまざまな方が今声を上げている。その思いは法案成立後どうなっていくと考えるか。どう行動していけばいいと考えているのか。
A:広渡
憲法9条の平和主義は自分の国をどう守るかに密接に関わるが、この間9条を議論する中で平和主義の基礎には個人の尊厳がある。シールズの学生だけでなく、ママさんの組織も全国で40できた。皆さんが一番危惧しているのは、武力行使する集団的自衛権はまさに頼まれもしないのに他国を助けに行くかもしれない。そのときは自衛隊員が人を殺す仕事をする。逆に殺されるかもしれない。これを国家が積極的に推進していいのか。これに問題がある。国家の論理ではなく個人の論理から平和を考えようというのが個人の声になっている。憲法9条は個人の尊厳を基礎にして作られた。この運動の大きな盛り上がりは、例え法案がもし数の力で強行採決されても個の力はなくならない。今後この法案を実際に機能させない戦いが国民によって続けられる。私は憲法9条は不戦の約束と希望の規定だと言ってきた。憲法に託された国民が二度と戦わない、政府によって二度と戦場に生かされない。不戦の約束と希望は今回広がった国民力がこれを支えて、約束と希望を約束する戦いをずっと続けていくだろうと確信している。
A:水上
法律を作ろうとするときにその法律が合憲の枠組みに含まれていて、立法事実があって、議論が尽くされたとき、民主主義なプロセスで採決するのは当然だ。ただし現状でそうなっていないのは明らかだ。この法案がもし採決されたとしても、適切な民主主義のプロセスを踏んだとは評価されない。裁判所が国会の作った法律についてなるべく口を出さないという原則があるが、これは適切な民主主義的なプロセスを踏んでいる以上は国会の意思を尊重すべきだという三権分立の思想に基づいている。しかしそのプロセスが適切でない場合、そこは司法が出すべき責任を果たさなければならないだろうと考えている。同時にそれをサポートする国民の動きも当然行われるだろう。
Q:清水
安倍総理は法案に関して国民への説明が十分ではないと言っている。これだけ大きな反対の声が大きいのは、首相の言うように説明が足りていないからなのか、それとも進めようとしている法案そのものに不安があるのか。
A:広渡
国会の会期を3カ月延長して審議してきたが、審議が進めば進むほど反対の声が大きくなっているのが私の実感だ。これは国会審議の中で事柄が明確にならず、ますます大きな問題点が国民の前に明らかになっていく。従ってこの法案が問題法案であると確認をして廃案にし、本当に必要ならばもっとちゃんとした法案を出すというのが国会のあるべき態度ではないか。最近の世論調査でも今国会で法案を成立させる必要はないという声が7割だ。国会の多数は確かに多数で最後は多数決で決めるというのは民主主義のルールだが、多数決主義ではなく民主主義という観点にたって、国民の多数の声を国会の多数がどう受け止めるか。現在の国民の声に耳を傾けることが国会の多数派の政治家としての責務だと強く思う。


Q:井上哲士(共産)
安倍政権は自らに都合のいい学者の話にしか耳を傾けていないように思うが、その点はどうか。
A:広渡
安倍政権が今回この法案を強行していく過程で、反立憲主義、反民主主義などと言われるが、学者の皆さんが感じていることは「反知性主義」ということだ。
集団的自衛権の行使が憲法9条の枠を越えているということは、ほとんどの法律家の専門家の意見だ。安全保障の専門家などからは、安全保障環境の変化があり、それに沿って変わらなければならないという話をするが、権力というものは枠の中で行使できるものだ。国会の議論を聞いていると、「審議で時間をつぶせば議決できるだろう」と見ているようにしか見えない。「審議が十分に尽くされたかと思うか」という質問に対して国民8割が「そう思わない」といっている。どうして、それで法案を強行するのか。
大学は先の大戦の反省から、軍事研究はしてこなかった。しかし、国立大学は国益にあった研究をするところだ。「なぜ軍事研究をしないのか」という声が押し寄せてくるのでは、と恐れている。そういうことを感じている学者の皆さんが立ち上がっていると思う。

Q:井上
後方支援について、先制攻撃など違法な攻撃を日本がするのではないかという懸念もあるが、国際法上、これを担保するものが法案の中にあるのかどうか。

A:水上
後方支援については、その前方たる支援対象の行為が国際法上の正当性を有しているという条文は書かれていない。これは、書こうと思えば、比較的容易に書ける。支援対象行為が適法であるということを後方支援の要件にするということは、政府も説明している。違法なことに荷担しない、と。そうとなると、そのような条文を提出することが当然、政府の責任だと思う。

アセット防護は、平時より実施することができると書いてある。
有事のときはできない、という議論が足りない。重要影響事態において、自衛官の武器使用は行われるのか。存立危機事態防衛の枠組みの中では、自衛官の武器使用は行われるのか。存立危機事態防衛と、重要影響事態の後方支援が重なりあうという説明をしている。つまり、存立危機事態においても後方支援はできると説明しているので、それぞれの法律概念は重なり合うことが予定されている。とすると、武器使用の枠組みの中で何でもできるではという懸念がある。そうではないならば、そうではないと法律、もしくは答弁上、明確にする必要がある。

Q:井上
必要最小限度の武力行使において、あくまでも相手国からの攻撃を排除するだけだ、というお話があった。一方で、今回の存立危機事態は、他国に対する攻撃を排除するものですから、勢いで他国の領土、領海に行って排除せざるを得ないのではないか、そうではないと、存立危機事態を放置する事態になると思うがいかがか。

A:伊藤
他国に対する武力行使が、我が国の存立、そして国民の生命、自由、幸福追求権に著しく影響するかというさらに条件が変わった。なので、それに照らした「他国が攻撃されているかどうか」。なので、何でもかんでも外国からやられたから我が国が攻撃するとうことはでない。そういうことは書いていない。想定されるとするならば、日本がまだグレーンゾーンで有事ではない状態でも、他国が日本を守ってくれる状態が出てくる。日本を守ってくれる軍隊が攻撃を受けた場合、それを排除する。それが、あくまでも限定的、必要最低限度の対処行動だといえるので、私は極めて明確な歯止めがあると言えると思う。

A:水上
必要最小限について、条文上、必要最小限と言う言葉は使われていない。
存立危機事態防衛は、我が国が攻撃を受けていない、かつ、存立危機武力攻撃を排除し、その速やかな集結を図らなければならないと、この「速やかな集結を図らなければならない」ということを前提に合理的な範囲といってしまうと、一般には「必要最小限」といえる可能性がある。従って、越えていないのであれば、明確に「必要最小限」と書かなければいけない。実際に、警察官の職務執行権限は「必要最小限」と文言は使われていますから、法律上「必要最小限」という文言を使うことはできます。それにもかかわらず、必要最小限と書かれていないと言うことは、これは単なる専守防衛の枠組みを乗り越えてしまっているのではないか、という懸念があると思う。


Q:和田政宗(次代)
我が党は、本法案の必要を認め、不足部分を取り上げてきた。賛成の方向できたが、反対派の声に耳を傾けなければならないと感じている。
今回の安保法案について、国民の理解がなかなか広がっていない。国民に理解してもらうためには、どんなことが必要か。
A:渡部
現状が非常に複雑であるということを皆さんで理解してほしい。「難しい」と最初に理解した上で、それを丁寧に説明すること。国会審議では、挙げ足取りになりやすいし、政府側も間違ったり、不利なこともあったりするけれど、そればかりを取り上げていると、政府も守りの体制になる。国の安全に関わることは、もう少し、歩み寄るようなことができないか、と考えている。

Q:和田
合憲性を持たせた上での国防のあり方について、どう考えるか。
A:広瀬
今回の法案はどんなに考えても「自衛権」ではなく「他衛権」。他国を守るための法律だ。憲法に違反している。憲法に違反した法案をどうして国会を通すことできるのか。学生たちは「憲法を守らなければいけない国会議員が憲法を守っていない。憲法擁護義務とは何なのか」と聞いてくる。
本当に法案を成立させようとするならば、なぜ、憲法改正から、正面から議論しないのでしょうか。国会答弁は国民をごまかしている。憲法改正が必要ならば、それを正面から打ち出して、理をつくして説明するべきだ。最後は、国民が決める。現在の段階では、憲法9条と自衛隊を両立させる安全保障政策を考えてほしい。


Q:水野賢一(無ク)
渡部さんに聞きたい。私は反対の立場。いろんな極論が議論の妨げになると思うが、気になるのは、抑止力を高めることは大切だが、どうも国会内外で外交安保で勇ましい冒険主義的な声が、与党の中でも若手の中からあるのではないか。抑止力を高めるだけじゃなく危険なことになるのではないか。それを懸念している。
A:渡部
国会外での極端なものも、言論弾圧はできない。国会内はある程度の枠内におさめていただきたい。タカ派は気をつけないといけない。自衛隊の現場は抑制的な理解をして行動している。タカ派的な言動する人は現場を知らない。是非参議院の良識の府でバランスを取って議論してほしい。戦争法案といって反対している人は、それを聞いた外の国は戦争準備しているんだと思っている。メディアを通して日本の外に流れるのを冷静に考えてほしい。


Q:福島みずほ(社民)
この法案を「戦争法案」を言ったときに、「戦争に関わる法律」「戦争につながる法律」ではどうか、と言われた。この法案の本質とはなんと考えるか。
A:水上
「戦争に関わる法律」「戦争につながる法律」を認めているならば、「戦争法案」ではいいのではという素朴な思いはあります。
法律的なところでいうと、今回の安保法制は、後方支援は前方で行われる軍事行為、武力攻撃というのが国際法上、正当性を持っているかどうか、ということについては要件になっていない。実際に「補給や輸送」について、法律上、大量破壊兵器等を除外しているかどうかというと、そういうことも法律上、除外していない。法律上は全くこういうことを排斥していないので、あえていうならば「戦争法案」なんだと思います。政府が戦争をやるかどうかという議論に立ち入るつもりはない。この法案は、国際法上、違法なことを排除していないので、これが「戦争法案」という価値判断ができないわけではない。「戦争法案が間違い」ということはできない。
法律をつくるときは、極端な議論をしなければならない。法律はどこまでできるのか、どこを越えたら違憲なのか、極端な議論をしなければいけない。軍事力についての法案については、行政に裁量権を与えてはならないからこそ、線引きを明確にしておかなければならない。それがこの法案は持っていない。

Q:福島
どこが違憲なのか。
A:水上
いくつもの違憲がある。我が国が最も重要と考えた「専守防衛」などについて基本的な枠組みを変えている。合憲の枠の中で法案をつくるのが国会です。どこまでも合憲で、どこからが合憲ではないか国民は分からない。それをまず示してください。そのことさえも、いまはまだ議論されていない。

Q:福島
具体的に法案が仮に成立し、被害者も加害者になることは耐えがたい。日本が軍需産業肥大化、軍産複合体制、軍産に依存する社会になるのではという不安がある。この法案についてどう社会が変わるか。

A:広瀬
安倍首相は、戦後始まって以来の大改革といっている。日本国憲法の原理である憲法9条の理念を根底から変える。安倍首相のいう「積極的平和主義」は、人を欺くものだ。憲法9条は「暴力や武力を使わず、話し合いで解決する」という立場に立っている。自衛隊も憲法9条の縛りの中でやってきた。それを崩すのが今回の法案です。法案を通せば日本社会は変わります。必ず廃案にしてください。


Q:山本太郎(生活)
自衛隊の海外での活動、国際法上の正当性について聞きたい。私は8月25日の本委員会で総理と岸田外相に聞いた。首相は「ある国が国際人道法に違反する行為を行っている場合、そのような国に対して我が国が支援や協力することはない」と答えた。行わない範囲については「米国も含めて変わることはない」と。岸田大臣も総理答弁の後、「直接支援していない行為について仮に国際法違反が確認されたならば国家として組織的に行われているものなのか、一部の兵士の命令違反によって行われているものなのか具体的に判断することによって我が国の対応を考えるのが基本方針」と答えた。もし今後自衛隊が支援や行動をともにする諸外国の軍隊が民間人を殺傷するなど戦争犯罪を起こし、自衛隊が巻き込まれて共犯者になることがあっては絶対にないのか。
A:水上
当然そうであると考える。
A:渡部
基本的にこの答弁の通りだが国際社会には世界政府はないのでなかなか難しい。国益を考えるしたたかなところも予想される。
A:広渡
事前にこういう危険な状態が生じないようにすべき。
A:伊藤
国際社会の決議や国連決議を基に支援しているはずなので、そことの関係になると思う。
Q:山本
自衛隊員を戦争犯罪に巻き込まれないためにも、事前に行動をともにする国をリストアップして、過去戦争犯罪をした国かどうか支援国リストに入れるべきか、第三者委員会で検証すべきだと考えるが。
A:伊藤
その都度情報収集して考えるべき。
A:広渡
米国のイラク戦争はフランス国際法学者が明確に違反だと言っている。支援国リストを作ると米国はまず支援対象にならない。
A:渡部
広渡さんと同じ部分がある。だからこそ米国と同盟をくまないと自国を守れない。だからこそ同盟国が国際法を違反しないことを働きかけることが大事。過去にそんなことがあったからダメといったら日本はどうなるのか。現時点でどうなのかを考えるべき。
A:水上
3つ要件がある。1つはこの法律自体に適法の国しか支援しないと条文に盛り込むこと。2つ目はどの行為が支援対象になるのか判断基準を明確に決めて公開する。その上で第三者委員会が事前審査する。過去戦争犯罪した国が絶対にダメなのか、将来についてどう考えているのかをきちっと判断すべきだが、将来において国際法上適法とは言えない行動を予想される国には後方支援はできないだろうと考える。
Q:山本
2003年に国連査察が「イラクに大量破壊兵器はない」と言っても米国はイラク戦争を始めた。アフガン戦争も民間人を殺害した。アメリカは戦争犯罪の常習国と言えるのでは。私は先ほどの総理と外務大臣の言葉を担保するにはイラク戦争を検証すべきだと思う。その総括もなく自衛隊の活動の拡大するのは、自衛隊を甘く見ているのではないか。独立性の高い第三者委員会の検証が必要ではないか。
A:伊藤
政府、国会でしっかり情報をもって議論したで上自衛隊は行動するだけ。
A:広渡
法案廃案が立場なので、今後新しくできる法案が出たら、山本議員のおっしゃったシステムを作るのも一つのアイデアだと考える。
A:渡部
イラク戦争については米国は失敗を認めて検証している。日本はそれを参考にして幅広く検証していくのはありだと思う。
A:水上
つい先日国会でイラク戦争への支援は間違いだったのではという質問に対し、「妥当性は変わらない」という政府の判断だった。要は政府としては総括して「妥当」ということだろう。しかし何を基準に妥当と考えたのか基準はなされていなかった。大変危険だと思う。明確な判断基準ができるよう第三者委員会を設けるべきだと思う。





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