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アジア蝶図鑑が完成 鎌倉の男性が亡き師匠と共著

話題 神奈川新聞  2015年09月03日 03:00

チョウの図鑑を完成させた原田さん。貴重なブータンシボリアゲハの写真も掲載した
チョウの図鑑を完成させた原田さん。貴重なブータンシボリアゲハの写真も掲載した

 日本蝶(ちょう)類学会理事の原田基弘さん(73)=鎌倉市手広=が、亡き師匠との共著となる図鑑を完成させた。師匠は制作半ばの2008年に病気で他界。いったんは継続をためらったが、師匠の妻や友人に背中を押され、後を引き継いだ。ヒマラヤの珍しいチョウの掲載にも成功し、原田さんは「少しは恩返しできたかな」と語る。

 完成したのは「続アジア産蝶類生活史図鑑」。東南アジア、南アジア、東アジアのチョウ類194種類を幼生期から成虫になるまで写真で紹介。生態や分布、特徴などを解説した。

 原田さんは幼少期からのチョウ好き。中学生のころ自宅近くの神社で偶然出会ったのが、チョウの採取に来ていた五十嵐邁さんだった。後に大成建設取締役や同学会長になった人物で、原田さんが恐る恐る話し掛けたことから、交流が始まった。

 1963年にはヒマラヤへの調査隊に五十嵐さんとともに参加した。「それからアジア諸国を歩いてチョウを探すとりこになった」と原田さん。デザイナーの仕事をこなしつつ、暇を見つけては海外へ調査に出かけた。

 07年1月には、五十嵐さんが集大成として取り組んでいた図鑑制作の第3巻を一緒にやろうと、本人から声が掛かった。「願ってもない」と原田さんは快諾したが、五十嵐さんは翌年4月に死去。「最初は自分一人でできるか悩んだが、先生と一緒に名前を出せる最初で最後の機会。やらなきゃいけない」と奮い立った。

 編集のさなかには、思ってもみなかった好機が訪れた。粘り強い交渉の結果、幻といわれたブータンシボリアゲハの調査が、ブータン政府から許可された。一般人の立ち入りが禁じられている国境付近の山岳エリアに生息するチョウで、これまでの採取例は世界で5匹しかなかった。

 原田さんらは11年と12年に現地へ調査に赴き、産み付けられた卵や幼虫、成虫の撮影などに成功。原田さんはその成果を図鑑に載せることにした。

 原田さんは「完成までに少し時間がかかったが、貴重な写真も収めることができ、先生も喜んでくれていると思う」とし、こう続けた。「近ごろは子どもたちの虫離れが進んでいるが、興味を持ってもらえる一冊になればうれしい」

 A4判で352ページ。2万2千円。問い合わせは、昆虫専門の書店「昆虫文献 六本脚」電話03(6825)1164。


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