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時代の正体〈162〉復興と若者(下)人と関わるだけでいい

時代の正体 神奈川新聞  2015年08月10日 10:39

出産準備で辞めるまで「まるごとりくぜんたかた協議会」で働いていた村上翠さん
出産準備で辞めるまで「まるごとりくぜんたかた協議会」で働いていた村上翠さん

 復興とは何か。支援はどうあるべきか。高台の宅地造成に向け槌音(つちおと)が響く岩手県陸前高田市で村上翠(みどり)さん(25)も悩み続けてきた。

 「結局、ぶつかるのは人と人なんですよね」

 短い言葉に葛藤がにじんだ。

 市の観光物産協会の一部会である「まるごとりくぜんたかた協議会」で被災地見学ツアーのガイドを務める。土地のかさ上げのため120億円をかけて建造された全長3キロのベルトコンベヤーを案内し、「地元の小学生によって『希望のかけ橋』と名付けられました」などと説明する。

 そうして積み上がっていく高台は希望であるには違いない。仮設住宅で暮らす女性(65)は「自分の家が建たないことには復興とは思えないから」と話す。別の女性(73)も「早く家を建てて仮設を出たい。何日かでもいいから、手足を伸ばしてからあの世にいきたい」。

 一方、町を歩けば違った声も耳に入ってくる。

 海沿いではまだ行方不明者が数多く残っている。そこへ土をかぶせ家を建てるなんて-。

 「あなたは陸前高田の人間じゃないのに、どうしてこんなことをしているの、と言われることもあります」

 切なそうに村上さんが目線を落とした。

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