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里山守り人口増加を 調整区域で規制緩和、就農希望者呼び込む 秦野上地区

社会 神奈川新聞  2013年01月07日 17:34

人口減対策として特例措置が取られることになった秦野市西部の上地区
人口減対策として特例措置が取られることになった秦野市西部の上地区

 秦野市は2013年度から、高齢化率が市内で最も高い市西部の上地区で、人口増加に向けた規制緩和策に乗り出す。地区の大半を占め、開発や建築が制限されている市街化調整区域で住宅の新築に道を開く特例措置を市内で初めて導入。里山らしさを守りながら、就農希望者や子育て世代の流入を試みる“特区”に位置付けて、活性化を図る考えだ。

 松田町と接している上地区(菖蒲、三廻部、柳川、八沢)の人口は2487人(昨年12月1日現在)。人口減が顕著で、国勢調査が行われた2005年と10年の人口増減率は市全体のマイナス1・1%に対し、上地区はマイナス7・7%。若者が流出しているとみられ、高齢化率は31・7%と、市全体(22・4%)を大きく上回っている。

 こうした状況をもたらす要因として、交通利便性の悪さとともに、地区の98%を占める市街化調整区域が挙げられている。新たに住宅を建てることができないため、事実上、出生による自然増以外に人口が増えない形となっている。

 危機感を抱いた地元住民が結成した「活性化対策委員会」は昨年7月、定住促進や農業振興、観光客の誘致などの対策をまとめ、市に提言。これを受けて市は規制緩和に乗り出すことにした。

 市開発指導課によると、今春から上地区の市街化調整区域で建設が可能となるのは、敷地面積300平方メートル以上、高さ10メートル以下の住宅。急傾斜地、優良農地などは認めていないため、市の試算では候補用地は約9・4ヘクタールほどで、約100戸が建てられるという。

 これらのルールを定めた市街化調整区域の開発規制に関する条例改正案は、先の市議会12月定例会で可決された。市は「自然が豊かな環境だけに新規就農者や子育て世代の定住が期待される。上地区の活性化策を中長期的に支えるための施策であり、地元の協力を得て取り組んでいきたい」としている。

 市の推計では、10年後には65歳以上の高齢者が過半を占め、人口は2030年に2100人余りに減少する。上地区自治会連合会の熊澤嘉孝会長(67)は「農家の高齢化が進み、荒廃農地が増えている。このまま人口減が続けば伝統行事の存続が厳しくなるし、通学・通園の負担を考えると、小学校や幼稚園の統廃合は避けたい。地域として新住民との交流を促進しサポートできるような態勢を整えていきたい」と特例措置の効果に期待している。

(2013/1/7)


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