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亡き兄の通帳手に「やっと終戦」 横浜の遺族に返還

社会 神奈川新聞  2015年08月06日 03:00

兄が預けていた通帳と履歴カードを手にする國井さん
兄が預けていた通帳と履歴カードを手にする國井さん

 終戦後に旧満州の引き揚げ者から税関に預けられた通帳などが5日、横浜に住む遺族の元に返された。「郵政儲金(ちょきん)簿」と「履歴カード」を手にしたのは、持ち主の実弟である國井好春(よしはる)(79)さん=横浜市瀬谷区。國井さんは「友海(ともみ)」と記された兄の名を眺めながら、「70年も前の話。これでやっと戦争が終わったかのよう」と感慨深く話した。

 國井さんによると、旧満州で1936年に生まれた國井さんは、15歳離れた友海さんら家族と暮らした。戦時下の混乱で、軍関係の仕事に就いていた友海さんの所在がわからないまま、終戦後は一家で博多港に帰国。その後、「死んだと思っていた」という友海さんに福島市内の実家で再会した。「銃殺されるはずだったが、中国語が話せたので通訳として必要とされた」と聞かされたという。友海さんは82歳で亡くなった。

 横浜税関によると、返還制度を親戚から聞いた國井さんが今年6月、大阪税関に問い合わせた。当初は「父のものがあるかもしれない」との思いだったが、住所などから友海さん名義の保管物が判明。通帳は福岡県の門司税関に、履歴カードは朝鮮半島の在公館を経由して横浜税関に、それぞれ保管されていたという。

 國井さんはこの日、横浜税関で開かれた返還式に出席。村中健一税関長から渡された通帳を手に、「やっと返ってきたよと、兄の仏前に報告したい」と話した。


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