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人口減時代(8) 綱渡りの学童保育経営

社会 神奈川新聞  2012年10月02日 17:04

「だるまさんが、ころんだっ」。ひとり親家庭にとってキャンプは大人数で遊べる時間=2012年7月、三浦市内
「だるまさんが、ころんだっ」。ひとり親家庭にとってキャンプは大人数で遊べる時間=2012年7月、三浦市内

 夕闇に包まれたキャンプ場のかまどから、カレーの香りが漂う。「もうちょっと待っててね」

 7月、自助グループ「よこすかひとり親サポーターズ・ひまわり」(横須賀市)が三浦市内で開いたキャンプ。1泊2日で60人の親子が集まった。一人親の家庭にとっては、忙しい日常を離れて絆を確かめ合う大切な時間でもある。

 小学生の多くは普段、地域の学童保育クラブで、親の仕事帰りを待つ。

 2年生の長女(8)を持つ母(34)は週3回、学童保育を利用している。派遣社員としての勤務時間の終了まで、娘を放課後から一人にさせることに不安を感じていた。「学童クラブのおかげで安心して働ける。集団生活で社会性も身につけてほしい」

□ ■ 

 7月下旬の平日夜、横須賀市内の学童クラブ。迎えに訪れた母親の隣で、7歳の女児が靴を履いた。

 「さようならあ」

 「明日はプールだから、浮輪を持ってきて」。指導員の女性が声をかけた。学校の長期休暇の期間は、一人で働く親にとって“第二の家庭”の貴重さが、ひときわ増す。


夕方に運営時間を終え、最後の子どもを送り出す=横須賀市内の学童保育クラブ
夕方に運営時間を終え、最後の子どもを送り出す=横須賀市内の学童保育クラブ

 だが、横須賀のクラブ運営は綱渡り状態だ。

 市内に55カ所あるクラブのうちの大半が、保護者自ら運営を担う民設民営型。小学校の建物を借りて運営しているのは11カ所にとどまる。残りは民間ビルや一戸建て、空き店舗を借りている。賃料や指導員の人件費も、利用者が負担する保育料から捻出しなければならない。

 市学童保育連絡協議会に加盟するクラブの平均保育料は毎月約2万1千円。7千~8千円程度の全国平均額を大きく上回る。「市からの支援があっても保護者の負担は重い」。組合で働きながら1人で子ども2人を育てる寺田由美さん(45)がため息をつく。

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 少子化を背景にした利用者の減少も、弱い運営基盤に追い打ちとなっている。2008年度に千人近かった協議会加盟クラブの所属者数は、今年5月1日現在で約700人にまで減った。

 利用者の減少は保育料の減収に直結する。だが家賃や人件費は削れない。1人当たりの負担が重くなり、既存の利用者が次第に離れていく。「市からの支援と保育料がともに減り、ますます運営が行き詰まる」(協議会)悪循環だ。公設民営への転換や助成の充実を求める声が、利用者から上がる。

 市は放課後の子どもの受け皿として、全児童を対象とした遊び場「わいわいスクール」を提供している。だが働く親からの需要が強い夜間利用には対応ができていない。学校の外での子どもの居場所の確保も、育児世代の市外流出を防ぐ鍵を握ることになる。

(2012/10/2)


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