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人口減時代(7) 子ども増加 かさむ財政支出

社会 神奈川新聞  2012年10月01日 17:02

国際交流会で踊りを披露する児童。真新しい学舎に子どもたちの歓声が響く=2012年2月、開成町立開成南小学校
国際交流会で踊りを披露する児童。真新しい学舎に子どもたちの歓声が響く=2012年2月、開成町立開成南小学校

 子どもたちの駆け回る体育館に差す陽光が、真新しい壁や床に照り返す。開成町立開成南小学校は2010年に開校したばかりだ。それまで町内で唯一だった開成小学校が、児童数の増加で千人を超えるマンモス校となったため、小学校の新設が求められていた。

 開成町は、県西部で唯一人口増が続く。1955年の町発足当初に4633人だった人口は、今年9月1日現在で1万6617人になっている。

 緑の豊かな環境とアクセスの良さを求め、開発の槌音(つちおと)とともに子育て世代が転入。小田急線開成駅前のマンション群は酒匂川流域の新たなランドマークになりつつある。町企画政策課は「開発計画はまだ途上。今後も人口の流入は続いていく」。2022年の1万9300人がピークになるという。

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 地域の衰退をもたらす人口流出の歯止めに苦心している県西部の各自治体のなかでは、開成の状況は特異ではある。

 ただ、増える住人の多くを、小田原市など近隣からの転入者が占めているのが現状。地域全体で目減りする住人を奪い合う構図となっているのは否めない。

 その一方で、高齢者人口の増加がもたらす財政の硬直化は、他の自治体と共通する悩みだ。同町の平均年齢は43・52歳で、県平均(43・49歳)とほぼ同水準。だが15~64歳の構成率は県平均の66・5%を下回る62・2%で、5年間では3ポイント低下。一方、65歳以上は21・7%で、5年間で3ポイント増えた。

 財政に占める社会保障費も増大している。2011年度決算では、一般会計のうちの扶助費は前年度比8・4%の増。介護保険事業特別会計への繰り出し金も約1900万円増え、1億1千万円に達した。勤労世代の人口を上回るペースで子どもと高齢者の層が同時に増えていけば、財源の確保が出費に追いつかなくなる。

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 町は策定を進める第5次総合計画でも、子どもへの施策を柱の一つに据える。だが、近隣自治体が導入している「医療費無償化や通学定期券補助などの直接支援はとてもできない」(町幹部)。

 子育て世代の定着を促すため、充実した教育の提供に力を注ぐ。NPO法人と連携して民間企業出身者や大学院生などを中学校に派遣し、数学のティームティーチングや長期休暇中の集中補習を通じて基礎学力の向上を図る事業に、11年度は418万円、12年度も252万円を費やした。

 「財政的に余裕があるわけではなく、教育はすぐに目に見える成果が出るものではない。だが教育環境が高まることで、保護者が安心して働きに出ることもできる」。鳥海均教育長は「『通わせたい学校があるからこの町に住みたい』と開成を選択する人は増えるはず」と期待を込める。

(2012/10/1)


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