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ソーシャルファームの課題と展望(上)ホームレスや出所者に働く場

社会 神奈川新聞  2015年07月25日 09:17

ジャルダン・ド・コカーニュで農作業に取り組むホームレス、麻薬中毒者、刑余者ら(Kai Junemann撮影)
ジャルダン・ド・コカーニュで農作業に取り組むホームレス、麻薬中毒者、刑余者ら(Kai Junemann撮影)

 誰もが生き生きと暮らせる社会を掲げ、就労が困難な社会的弱者に働く場を提供しようというソーシャルファーム(社会的企業)。その発展を目指す「第2回ソーシャルファームジャパンサミット」が6月、大津市で開かれた。障害者や高齢者、シングルマザー、引きこもり、ホームレス、長期失業者、刑務所出所者(刑余者)、依存症者を対象にしたフランスの先進事例や日本での実践の報告から、就労弱者の雇用創出の可能性と課題を検討する。

 集会の注目の一つがフランスのソーシャルファーム、非営利組織「ジャルダン・ド・コカーニュ(桃源郷の農園)」の報告だった。創設者ジャン・ギィ・ヘンケルさんが来日し記念講演に立った。シラク政権下で経済・財政・産業大臣を務め、現在は連帯ファイナンス機関「フランス・アクティブ」会長としてソーシャルファームを金融面で支援しているクリスチャン・ソテールさんも登壇し、最新の状況を説明した。

失業者を訓練


 ジャルダンの歩みは1991年、フランス東部の小さな村ブザンソンから始まった。失業者、ホームレスらの職業訓練の場として耕作放棄地を活用し、有機農産物の栽培と直販を始めた。地域住民の支援を受け、「事業はフランス全土に拡大した」とヘンケルさんと振り返る。

 2013年時点で農場は130カ所、訓練生は約4320人、経営幹部、技術者、ソーシャルワーカーら常勤職員が約850人、ボランティアは約1840人。ヘンケルさんの理念に共鳴し、多くの若者が職員になった。

 野菜の直販先は約2万5千にまで広がり、販売額は年間約1200万ユーロ(約16億3200万円)。事業収入の内訳は野菜販売などが約30%、国、欧州連合(EU)の補助金が約30%、民間企業・個人の寄付が約40%。フランスが掲げる「社会的連帯経済」の理念の下、国、自治体のほか、民間企業や市民からも手厚い支援を受けている。

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