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人口減時代(2) 自治会 担い手が減る

社会 神奈川新聞  2012年05月30日 23:11

三崎漁港を望む向ケ崎の集落。平均年齢は50歳を超える=三浦市
三崎漁港を望む向ケ崎の集落。平均年齢は50歳を超える=三浦市

 名産「足柄茶」の畑と民家が山肌に張り付く山北町の共和地区は人口250人。12の集落が点在する。

 5世帯で構成する市間(いちま)集落の杉本正好さん(64)は、2期連続で自治会長を務めている。沢から引かれる簡易水道の管理に下草刈りと、仕事は幅広い。「以前からの住民では自分が最年少。ほかになり手もいない」

 担い手として期待される次世代の住人不足は深刻さを増す。昨年3月には集落の小学校が137年の歴史に幕を引いた。半世紀前に1学年30人を数えた児童数も、閉校直前には全校で数人に落ち込んでいた。

 地区連合自治会長の杉本君雄さん(64)は「地区に入るのは林道のような道ばかり。若い人が出ていくのは必然だ」。

 最近では高齢者の転出も目立つ。残された親が、先に出ていった子どもに引き取られて集落を後にするようになっている。

□ ■ 

 1万1749人(5月現在)の人口を抱える山北町には現在、58の自治組織がある。

 数は長年、横ばいだったが、近年になって山間部で統合の動きが表れるようになった。構成人数を確保しなければ自治会自体が成立せず、集落の生活環境をむしばみかねないからだ。

 町域面積の9割を森林が占める。今では伐採管理ができる人材が、町全体でも乏しい。

 町は本年度から、町域に水源地を持つ街として交流を続ける川崎市と「森づくり」の協定を結んだ。「都市部の市民に、自然と触れ合いながら森林整備に力を貸してもらう」(町環境農林課)狙い。今夏をメドに、ツアーの受け入れを予定している。

 自治活動存続の課題に直面する地域は、組織の広域化や他組織との兼務で解決策を探る。だが限られた担い手に責任が集中すると、今度は地域の声をきめ細かく拾うのが難しい。

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 人口4万7千人の三浦市では、52地区に割り振られた民生委員の定員90人に、6人の欠員が生じている。来年12月には改選を迎えるため「来春には次を見つけるよう動きだす必要がある」(市福祉課)。

 三崎漁港に面した集落、向ケ崎。30年ほど前に1000人を超えた住人数は今、700人余りだ。

 2007年から欠員の続く民生委員の仕事は、自治会長に当たる「区長」の宮川吉弘さん(73)が担う。

 「戦中世代は行政からの仕事をありがたくやっていた。今ではそうした意識はない。地域全体を考えられる人材が少なくなった」

 商社の水産部門を経て、地元の水産品卸会社に長く勤めた。区長のほかにも商工団体など四つの役職を掛け持つ。「移動の合間に高齢者宅を回ったり、隣家に注意を頼んでおいたりしている」。だが目が行き届いているかどうか、不安が消え去ったことはない。

(2012/5/30)


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