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怒っていますよ!
国会前デモ現場ルポ・17日

政治行政 神奈川新聞  2015年07月17日 21:12

「オレたちは怒っています」と抗議の声を上げるシールズのメンバー=17日午後7時50分
「オレたちは怒っています」と抗議の声を上げるシールズのメンバー=17日午後7時50分

 16日の衆院本会議で可決された安全保障関連法案。国会前などでは、きょうも抗議の声が響き渡る。記者が現場からレポートする。


午後11時


シールズ主催のデモが終了。

「おつかれさまでした!今日は解散します。みなさん、気を付けて帰ってください」

参加者は落ち着いた様子で駅へと向かう。楽しそうに話すカップル、携帯電話で話しながら歩くサラリーマン、笑い合う学生。
コンサート帰りのお客さんみたいだな。デモに来ていたことを一瞬、忘れてしまう。

穏やかな風、参加者の笑顔。

民主主義っていいな。

午後10時半



「自分の言葉で語り始めたのが、新鮮でした」

シールズの前身「SASPL」(サスプル=特定秘密保護法に反対する学生有志の会」のときから、彼らが主催するデモに参加している50代の翻訳家の女性は嬉しそうに話した。

「安倍政権が安保法案を通したことについては、私自身もものすごく怒っています。民主主義を無視し、すべて強引に独裁的に推し進めた。とても怒っている」

シールズが主催するデモには、幅広い世代が参加している。

「自分の言葉で語る彼らのスピーチはとても胸を打つ。集まってきた人たちが、彼らの言葉に刺激され、彼らの姿に勇気をもらう。怒っているんだから、声に出して怒っていいんだって思える。決められたパターンではなく、それぞれが、自分のやり方で意思表示をすればいいんですよね」

午後10時



シールズの輪から約100m離れたところに、母と娘の姿を見つけた。
東京都町田市に住む親子はこの日、初めてデモに参加した。

「娘が一人でもシールズのデモに行くんだっていうので、心配になってついてきたんです。どんな怖い場所かと思っていたんですけど、コンサートみたいな雰囲気で楽しいですね。ふふ」

微笑む母親(53)の隣で、大学4年の娘(21)が照れ笑いを浮かべる。

「今まで他のデモは、ただ騒ぎたいだけなのかなと思っていた。でも、シールズは違う」

存在を知り、ツイッターやフェイスブックで彼らの声に触れ、安倍政権がいかに立憲主義、民主主義に反したことを行っているかを理解できた。

「シールズはとても現実的な主張をしている。私ももっと勉強しないと、と思いました」

リズミカルな音楽、コールが聞こえてくる。
母親が再び微笑む。

「これまで、日本で政治を語ると、宗教的とか真面目ぶっているという声が上がった。でも、そんなことないですね。おばちゃんでもデモに参加してもいいんだって、ハードルを下げてくれた気がします」

午後9時半



反対運動の大きなうねりを生み出したシールズ。なぜ、ここまで人々の共感を呼ぶのか。

1週間に初めてシールズのデモに参加したという男性会社員(32)=東京都江東区=は言う。

「スピーチを聞いたとき、非常に論理的で、何のために声を上げているのか、よく分かった」

それは、周囲に対する彼らの姿勢からも垣間見えた。

「無駄に警察官と小競り合いをすることがない。相手へ敬意を表している」

この日も、多くの野党議員が足を運んだ。

「多少、相手との意見が違ったとしても、だからその相手を排除するということがない。政治的な意見を言うと、攻撃的になったり、悪意をむき出しにしたりする団体もあるけれど、彼らは違う。あくまでも、いまの法治国家、立憲主義において、おかしなことがされていることに対して『それはおかしいでしょ』と声を上げている。彼らの私欲を満たすためにやっていることではない。だからこそ、私は思いに共有できた」

午後7時50分



「SEALDs」(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)」のデモが始まった。

中央ステージ、男子学生がマイクを握る。報道陣のカメラのフラッシュが一斉にたかれる。空気が変わる。

「オレたちは怒っていますよ。今日も声を上げて行きましょう!」

カラフルなプラカード。まばゆいライト。「クラブのような雰囲気だな」。取材陣の一人がつぶやく。

「憲法守れ!」「強行採決、絶対反対!」

国会議事堂に向かって、20代の学生たちが今日も声を上げている。

午後7時



金曜日の夜がやってきた。官邸前では原発反対、国会前では安保法案反対のデモ。

「原発反対!」「集団的自衛権反対!」

両者の声が呼応しているようで、運動会のエールを思い出した。赤組、白組、それぞれが全力を出し切ることを誓ったエールの掛け合い。

友人らからメールが次々届く。「今日は行けないけれど、家で叫んでる」「気を付けて」。デモは多くの市民の声によって生まれていると、あらためて実感する。


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