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元BC級戦犯・飯田進さん
時代の正体〈140〉「戦争で平和」は過ち

時代の正体 神奈川新聞  2015年07月17日 08:47

ニューギニアでの戦争体験を振り返る飯田進さん=横浜市磯子区の自宅
ニューギニアでの戦争体験を振り返る飯田進さん=横浜市磯子区の自宅

 横浜市磯子区で余生を送る元BC級戦犯の飯田進さん(92)は昨年12月に脳梗塞で倒れ、以来一人で歩けなくなった。「再び日本が戦争の道を歩まないよう、自分の経験を多くの人に伝えなければ」。少し話すと息が切れた。安全保障関連法案が衆院を通過し、戦後日本が歩んできた平和主義が岐路に立つ。飯田さんは声を絞り出すようにして語り続けた。「先の大戦から学べば、戦争で平和を生みだそうとする考えは間違いだ。法案を成立させてはいけない」

 激戦地ニューギニアで犯した罪は今も心に痛みとして残っている。

 1944年11月、日本兵を惨殺した武装勢力のリーダーと目された現地男性の処刑に立ち会うことになった。ジャングルの空き地、最年少の兵士が銃剣で突き刺すよう命じられた。

 上官が「前面の敵、突けーっ」と命令を下す。若い兵士は腰が引けて致命傷を与えられない。血を流す男性がうめきながら目の前によろめいてきたとき、飯田さんは腰の日本刀を抜いて斬り付けた。

 「けさ懸けに斬った感触は、今も忘れられない。そのときはそうせざるを得なかった」

 飯田さんの声がわなないた。人を切ったのは最初で最後だった。

 背負い続けてきた罪はもう一つあった。部隊はジャングルの奥地に向かい、現地の武装集団を捕まえる作戦に加わった。

 小屋を見つけ、現地武装勢力とみられる男性2人を連行した。小屋の中に食料がたくさん蓄えられていたが、自分たちだけでは持ちきれなかった。現地の女性4人に駐屯地まで運ぶよう頼んだ。

 「運び終えたら解放する。おまえたちの神に誓って約束する」と伝えると4人はうなずき、ついてきた。だが、約束は守られなかった。部隊指揮官は敵に居場所を知られることを恐れ、全員殺害した。

 苦しい記憶を振り返るとき、飯田さんの言葉は一層途切れ途切れになる。

 「女、子どもの命を守るのが武士道精神だと思っていたのに。でも、これが戦争の現実だった」

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