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安保法案特別委可決
憲法無視は横暴 学生、学者、母親…思い行動に

社会 神奈川新聞  2015年07月16日 03:00

国会前で抗議の声を上げるSEALDsのメンバーとデモ参加者ら
国会前で抗議の声を上げるSEALDsのメンバーとデモ参加者ら

 安全保障関連法案が衆院特別委員会で強行採決された15日、国会前に抗議の声を上げようと多くの人が集まった。主催者発表でその数10万人。学生、学者、母親、サラリーマン…。初めてシュプレヒコールを叫んだ人も少なくなかった。「強行採決を見て居ても立ってもいられなくなった」。やむにやまれぬ思いがその背を押した。

 午後6時半。綾瀬市の会社員田口結希さん(29)は子どもをおぶってデモに加わった。「戦争をする国で子どもを育てたくない」。デモ初参加。「子どもたちを守りたい。お母さんたちの思いはその一つ」。周囲に子連れの母親を何人も見つけ、勇気づけられた。

 午後7時半。学生団体「SEALDs」(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)がスピーチを始めると歩道から人があふれ、車道にも抗議の声が広がった。

 中心メンバーで明治学院大の奥田愛基さん(23)はマイクを手に「僕は30年後に『100年間戦争しなかった』と言って祝いの鐘を鳴らしたい。憲法を無視するということは、国民を無視するということだ」と声を上げた。

 駆け付けた社会学者の上野千鶴子さんは「今日、自民党と公明党は憲法違反を犯した。明日、国会で強行採決すれば国会が憲法違反を犯すことになる」と訴えた。

 やはりデモに初めて参加した3人組の女子大生の1人、文教大の有馬菜穂さん(19)=東京都新宿区=は「同じ世代の大学生がデモをしているのは知っていたが今まで勇気がなかった。でもいま動かないときっと後悔する。勇気を出そうと思った」。その隣で望月優希さん(19)=藤沢市=は「デモを見ていてもどこか人ごとだったが、この場に立って、違うと分かった。『戦争は駄目』と思っているだけではなく、声に出して、行動に移さないと」とうなずいた。

 午後8時すぎ。スーツ姿の会社員男性(26)が人の輪に加わった。「安倍政権になって何度も採決が強行されている。あまりにもやり方が横暴だ」

 製紙会社の営業担当。会社の経営者は安保法案に賛成しているといい、社内で「安保法案に賛成します」という署名に応じるよう署名用紙が回った。違和感が胸に広がった。「自分には自分の意思がある。私は安保法案に反対。その意思を表するために来た」

「批判真摯に耳を」

川上賢治さん(保守系元県議)


「命にかかわる問題。慎重に審議しないと国民は納得しない」と話す川上さん=南足柄市
「命にかかわる問題。慎重に審議しないと国民は納得しない」と話す川上さん=南足柄市


 保守系会派・県政会の重鎮で元県議会議員の川上賢治さん(76)は首をかしげる。「なぜこれほど急ぐのか」。安全保障関連法案の強行採決に県内の保守系政治家も疑問の声を上げざるを得ない。

 南足柄市議を3期12年、県議を5期20年務めた。政治信条として「反戦」を大切にしてきた。世論を顧みない安倍政権の姿勢に「個人の生き方としてもの申さねば」と口を開く。

 幼い胸に刻まれた記憶がある。70年前の6月、父の故郷の茨城に疎開中、米軍機の機銃掃射を受けた。逃げ込んだ竹やぶの中、バチバチと弾が降ってきた。「降参しない限り、武器一つ持っていない一般市民も攻撃対象になる」。6歳にして戦争の理不尽さと恐ろしさを感じた。

 新たな安保法制で自衛隊の活動範囲は地球規模で拡大し、他国軍の後方支援もできるようになる。「戦争は理屈じゃない。一度始まれば後方も前線も関係ない」。戦争を知らない世代の政治家による国会審議がもどかしい。「戦争は人の血が流れる。殺し合い。映画とは違う」

 国家のありようを決める問題なだけに、衆院を解散し、総選挙で国民の信を問うのが筋だと川上さんは考える。「自民党は国民の負託をすべて受けたかのように振る舞っているが、もっと謙虚に、批判に真摯(しんし)に耳を傾けないといけない」


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