1. ホーム
  2. 政治行政
  3. 横須賀市長の帆船招致 「虚偽答弁」と市議反発 

視線にわかに厳しく
横須賀市長の帆船招致 「虚偽答弁」と市議反発 

政治行政 神奈川新聞  2015年07月07日 10:48

日本丸招致をめぐる吉田市長(左手前)の答弁の矛盾などを指摘する渡辺市議(右)=6月26日、横須賀市役所
日本丸招致をめぐる吉田市長(左手前)の答弁の矛盾などを指摘する渡辺市議(右)=6月26日、横須賀市役所

 横須賀市の吉田雄人市長の2期目の任期が今週、折り返しを迎える。2年前に激戦を制して以降、1期目に「鬼門」だった副市長人事を乗り越え、修正が相次いだ当初予算案も無傷で通してきたが、ここにきて厳しい視線が注がれ始めた。事実と異なる発言をして「虚偽答弁」と批判されたり、「うそを言ったと疑われる」と指摘されたりしているからだ。答弁拒否を機に問責決議案も可決されるなど、潮目が変わった感が強い。

 問題の発言は、横須賀港開港と横須賀製鉄所着工の150周年記念で帆船「日本丸」を久里浜港に招致した経緯をめぐる議会答弁。

 市長は6月9日、南將美氏(自民)の一般質問に対し、「昨年9月に日本丸が久里浜港に寄港し、船長に会った際、久里浜港が気に入り、機会があればまた利用したいという話をいただいた。このため(久里浜に)日本丸を招致したいと考え、日本丸側と調整を進めた」と答えた。

 南氏が「日本丸は浦賀で建造された。横須賀にはほかにも港がたくさんある。集客や利便性を考えると決定には疑問が残る」などと再質問すると、「本当に日本丸側が久里浜港を希望したところも大きな要因」「日本丸側から久里浜港に引き続きという意向があった」と強調した。

なぜ久里浜
 だが、事実は違った。昨年9月に船長と会う前の8月の段階で、市長自らが日本丸側に対し、久里浜港に寄港してほしいと、依頼文を出していた。

 発掘したのは渡辺光一氏(自民)で、市長の依頼文も独自に入手。その上で「市長答弁に疑義が生じた」として、先月26日の市議会定例会最終日に緊急質問を行った。

 渡辺氏は「日本丸を所管する航海訓練所に確認したところ、日本丸側が久里浜を希望した事実は全くないという回答をいただいた。市長の答弁と正反対」と追及。市長はこの日も、当初は「昨年9月に日本丸の船長と会った際の話で、久里浜を気に入ってくれたと私は感じた」と答弁。5回目の答弁になってようやく事前に依頼文を出していたことを口にした。

 が、依頼文については「見ていない。港湾部長の決裁で事務手続きを進めた」と答弁。追及が続く中、「部長決裁でなく市長決裁の間違いだった。市長決裁なので目を通していると思うが記憶にない」と述べた。

「我田引水」
 なぜ、久里浜招致が問題視されるのか。一つは、日本丸が浦賀で建造されたのに、浦賀を一顧だにしなかったこと。もう一つは、久里浜が吉田市長の地元であるため。この二つが相まって、「市長の我田引水」という疑念が、市議会などから上がっている。

 市長は「9月に船長に会ったから久里浜港に決めたと受け止められたら私の説明不足。南氏への答弁で誤解を生じているなら、おわびしたい」などと釈明したが、市議会からは「緊急質問で吉田市長の虚偽答弁が明らかになった」(角井基氏=研政)などと厳しい指摘が相次いでいる。

 また、上地克明氏(無会派)が出した問責決議案が可決した後、市長は「猛省している」と述べたが、角井氏はブログで「採決目前に市長が談笑している姿が目撃されている。市長は言葉巧みだが誠実さに欠ける」と指弾した。

 当選7回で4人の市長と向き合ってきた板橋衛議長(公明)は「今までの市長で(虚偽答弁と指摘される)問題が発覚したという記憶はない。(問責とともに)重く受け止めなければならない」と語った。



◆日本丸久里浜招致をめぐる市議の指摘と市長答弁の変遷

6月9日
・市議の指摘
日本丸は浦賀で建造された。横須賀には港がたくさんある。集客や利便性を考えると久里浜は疑問(南將美氏)
・市長の答弁
昨年9月に日本丸の船長と会った際、久里浜港をまた利用したいと言われたため、日本丸側と調整を進めた。日本丸側が希望した。日本丸側の意向

6月26日
・市議の指摘
日本丸側から久里浜を希望した事実は全くないという回答をいただいた。船長に会う前の昨年8月に久里浜への寄港を市長が依頼した文書がある(渡辺光一氏)
・市長の答弁
昨年9月に日本丸の船長に会ったから久里浜への招致を決めたと受け止められたら、私の大変な説明不足だった。南氏への答弁で誤解を生じているなら、率直におわびしたい。私の不徳の致すところ


シェアする