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「いらない命はない」 稲川淳二さん、息子への思い

社会 神奈川新聞  2015年07月06日 03:00

「命」をテーマに体験を語った稲川さん=三浦市三崎
「命」をテーマに体験を語った稲川さん=三浦市三崎

 タレントの稲川淳二さんの講演会が5日、三浦市三崎の市民ホールで開かれた。怪談の話し手としても有名な稲川さんだが、今回は先天性の重度障害がある息子の父親として登壇し、自身の体験を率直に語った。講演は市社会福祉協議会設立60周年と市制施行60周年を記念して開かれ、約400人が来場した。

 テーマは「命・大切に、思うこと」。稲川さんは生まれたばかりの次男の頭蓋骨に異常があると分かった時、「頭が真っ白になった」と振り返り「今まで周りにそういう人がいなかったし、自分には関係なかった。嫌な言い方をすれば、自分の息子が障害者であると認められなかった」と語った。

 生後4カ月で手術を受ける直前、次男の鼻と口を押さえようとしたという体験も告白。術後に包帯にくるまれた次男のピンク色の唇と呼吸をする様子を見て、「自分はなんて最低か。小さい体で生きようと一生懸命闘っている。自分が情けなかった」と思い、初めて次男に向かって名前を呼んだという。次男は2年前に26歳で亡くなったといい、稲川さんは「この世にいらない命なんてないと教えてくれた」と静かに結んだ。

 閉会のあいさつに立った杉山実副市長は「私事ですが」と前置きした上で難病を患っている長男について触れ、「つらいときに、この子がいなければと思うんです。そういうときに、仲間や地域、皆さんの一人一人の励ましが、生きていこうと前へ押してくれる。あらためて学ばせてもらった」と話していた。


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