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新幹線放火:動機は生活苦か 年金に不満「手元残らぬ」

社会 神奈川新聞  2015年07月02日 03:00

 東海道新幹線の車内に火を放った男(71)=東京都杉並区=は年金受給額に不満を募らせ、「年金事務所で首をくくる」と周囲に自殺をほのめかしていた。旧知の女性(68)が1日、取材に明らかにした。神奈川県警は生活苦が動機につながった疑いがあるとみて調べている。複数の知人によると、岩手県から上京後に職を転々とし、流しの歌手として演歌を披露していた時期もあった。

 30年来の知り合いという女性は、同容疑者と顔を合わすたびに「(年金保険料を)35年間支払っているのに、隔月24万円しか支給されない」「税金や光熱費を差し引くとほとんど手元に残らない」と、愚痴をこぼされていた。

 自殺をほのめかすようになったのは、約1週間前。「年金事務所の役人を道連れにして死ぬ」といった趣旨を、笑いながら打ち明けられたという。

 事件前日の6月29日には女性はポリタンクを抱えていた同容疑者を見掛けた。「なぜそんな物を持っているの」と尋ねると、同容疑者は「ガソリンを入れる」。さらに「こんな暑いのに、なぜ?」と問い返すと、「いや、別に」と言葉を濁されたという。女性は「(自殺は)冗談だと思った」と振り返った。

 県警幹部によると、同容疑者のリュックサックからは「年金相談」と記された手書きのメモが見つかった。手帳に挟まれており、問い合わせ先とみられる電話番号も添えられていたという。

 同容疑者の自宅アパートの管理人によると、事件当日の同30日は家賃の支払い日に当たっていたが、振り込みはなかった。

 50年来の友人という男性(69)らによると、同容疑者は岩手県から上京。解体作業員や幼稚園の送迎バスの運転手など職を転々とし、約1年前までは清掃会社でごみ収集の仕事に就いていた。約30年前に離婚してから1人暮らしで、飲み仲間と草野球チームをつくっていたという。

 20代で流しの演歌歌手として居酒屋やスナックを回っていた時期もあった。美声だと仲間から慕われていたといい、スナックの男性店主(69)は「穏やかで優しい男だった」と淡々と話した。


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