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東日本大震災で芦ノ湖に波 水位20センチ変動

社会 神奈川新聞  2015年06月25日 09:07

地震で水位が変動
地震で水位が変動

 東日本大震災発生時の地震波で震源から450キロメートルほど離れた箱根町・芦ノ湖の湖面が波打ち、水位が最大で約20センチ変動していたことが県温泉地学研究所の解析で分かった。「静振(せいし)」と呼ばれる現象で、影響は20時間ほど続いていた。原田昌武主任研究員は「より近い場所で大地震が起きれば、水位変動はさらに大きくなる。津波のように陸地に及ぶ恐れもある」と注意を促している。

 温地研が芦ノ湖北部の水門付近で行っている水位観測のデータを解析した。それによると、大きな水位変化が現れ始めたのは2011年3月11日午後2時51分ごろ。52分ごろから1分ほどで15センチ余り上昇し、1分後に約20センチ下降した。その後も変動幅を小さくしながら影響が続いた。

 湖の水位は風雨などの影響を受けるため常に一定ではないものの、変化は小さい。震災当日に湖岸で土砂崩れなども起きていないため、地震波によるものと判断した。

 その中でも、特に影響を及ぼしたのは巨大地震特有の「表面波」と呼ばれる周期の長い揺れだったとみている。到達速度は遅いが遠くまで衰えにくいのが特徴で、3月11日午後2時46分の本震発生から3分後に表面波が箱根まで伝わってきたという。本震に誘発されたマグニチュード(M)4・8の地震が午後3時8分に芦ノ湖付近で起きたことも影響したと分析している。

 原田主任研究員は「インターネット上で以前公開されていた震災当日の芦ノ湖の動画を見る限り、いつもとは異なる波が湖岸に打ち寄せ、陸に及んでいた。水位変動の影響とみて間違いない」と指摘。同様の現象は富士五湖の一つ、西湖でも確認されたという。

 地震による湖などへの影響事例としては、2008年の岩手・宮城内陸地震で地滑りの土砂がダムに流入し、高さ3~4メートルの津波のようになったとの証言がある。芦ノ湖の湖底にも、過去の大地震による地滑りで周囲の木立が立ったまま押し流された「逆さ杉」があるほか、1930年の北伊豆地震の際は湖面が異常な振動をみせたとの研究報告もあるという。

 こうした現象にも着目し、他の地震による芦ノ湖への影響も調べている原田主任研究員は「今後、近場の大地震で芦ノ湖の湖岸が崩れるようなことがあれば、水位変動はかなり大きくなる」とみる。「海では津波への警戒が欠かせないという意識が定着しているが、湖も状況によっては危険な場合がある。地震のときは湖岸を離れ、高台に向かうことが必要」と注意喚起する。


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