1. ホーム
  2. 社会
  3. 同性婚の法制化を 弁護士ら人権救済申し立て準備

同性婚の法制化を 弁護士ら人権救済申し立て準備

社会 神奈川新聞  2015年06月09日 03:00

 「同性婚が認められないのは人権侵害に当たる」として、全国の弁護士有志が日本弁護士連合会(日弁連)に対して人権救済を申し立てようと準備している。同性婚の法制化を政府や国会に勧告するよう働き掛けるもので、200人以上の当事者が申立人として名乗り出た。運動の輪を広げようと引き続き申立人を募っている。

 発案者は、性的少数者の問題に取り組む弁護士や行政書士ら約80人でつくる「LGBT支援法律家ネットワーク」の26人。「法律家や社会が同性婚を切実な人権課題として捉える契機にもなる」と山下敏雅弁護士は話す。

 相続税の配偶者控除制度が適用されなかったり、住宅ローンを2人で組めなかったり、法的に結婚できないことで同性カップルが直面する困難は多岐にわたる。弁護士事務所には、外国籍の同性パートナーに在留資格が認められないケースや、経済的に頼っているパートナーが亡くなったときに相続が認められず、不安定な生活に陥ってしまうという逼迫(ひっぱく)した相談も寄せられる。

 男女間の夫婦が当たり前に受けている法的な保障が同性カップルに認められない現状に、山下弁護士は「すべての同性愛者や両性愛者が結婚を望んでいるわけではない」と前置きしつつ、「婚姻という社会制度から排除し、結婚の選択肢すら与えないことは不合理な差別で憲法14条の定める法の下の平等に反する」と強調する。

 憲法24条は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と規定しており、同性婚を認めるのに憲法改正が必要との見解もあるが、ネットワークは「24条は封建的な家制度を廃止し、当事者の合意のみで婚姻が成立することを確認するためにつくられた」と解釈し、「同性婚を禁止しているものではなく、法制化は違憲ではない」としている。

 山下弁護士は「性的指向は自らの意思で変えられるものではない。結婚を望んでもかなわない当事者が被る生活上の不利益を、わが身に置き換えて考えてみてほしい」と、世論の盛り上がりにも期待している。

 8日現在、申立人の数は206人。県内在住者は23人。対象は、日本で法制化された場合に同性婚を希望する可能性がある人。非当事者も、署名を通じ運動に賛同できる。申立書は7月7日に提出予定。申立人を希望する人は必要書類を15日まで郵送する(消印有効)。送付先などの詳細は、ネットワークのサイトhttp://lgbt.sakura.ne.jp/lgbt/で公開している。

人権救済 日弁連や都道府県の弁護士会が申し立てを受け、その事案について人権が侵害されている事実があるか調査し、必要があれば「警告」や「勧告」といった措置をとる制度。法的な強制力はないが、法律家の判断として重みがある。性的少数者に関するものでは、石原慎太郎元東京都知事の同性愛者への差別発言について、申し立てを受けた日弁連が警告した事例などがある。

「日本では赤の他人」 仏女性と結婚の牧村朝子さん



 2013年に同性婚が認められたフランスでフランス人女性と結婚したタレントの牧村朝子さん(27)=大和市出身=も妻とともに申立人になった。

 2人で暮らすパリ郊外では法的に配偶者でも、日本での妻の扱いは「フランス国籍を持つ赤の他人」。牧村さんは「もし私の両親に介護が必要になった場合、妻と両親の関係も日本の法律上では『他人』扱いされるから、近くに住むためのビザも下りない」とこぼす。

 一方で、外国籍同士の同性カップルが出身国などで同性婚をしている場合、同性パートナーに「特定活動」と呼ばれる在留資格が与えられるケースもある。

 胸を痛めるのは、自分たちの現状に対してだけでない。牧村さんの元には「同性パートナーと子育てしているが、親権が認められず困っている」「将来がないから別れようと言われている」といった悩みが寄せられる。

 人権救済を求めることで日本の婚姻制度そのものにも一石を投じたいと思う。女性のみに待婚期間が設けられていたり、男女で婚姻可能になる年齢が異なったり、「性別による不平等が残っている」と感じるからだ。「婚姻制度が同性カップルに開かれていない状態も、性別による不平等の一つ。包括的に見直されるべきだ」と考えている。


シェアする

編集部のおすすめ

アクセスランキング