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噴火へ移行「4%」 火山シナリオ推計静岡大教授/箱根山

社会 神奈川新聞  2015年06月06日 03:00

箱根山の火山活動とシナリオ
箱根山の火山活動とシナリオ

 箱根山(箱根町)の大涌谷周辺で続く活発な火山活動が今後どう推移するかを確率で示す火山活動シナリオを静岡大防災総合センターの小山真人教授(火山学)が公表した。太古の噴火を含めたこれまでの活動履歴から、噴気異常(暴噴)や地殻変動を伴った群発地震が続く現在のような状況から噴火に移行する確率を4%と推計している。

 活動の活発化に伴い、5段階の噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられてから6日で1カ月となる。小山教授は「大きな社会的関心を呼んでいるが、安全側と危険側の両極端に偏った主観的な見解がメディアをにぎわせている」と指摘。そうした現状を踏まえ「可能な限り客観的に数値で見通しを示すため、シナリオを作成した」という。

 地質調査などから解明されている過去の水蒸気噴火や群発地震などの発生時期や回数、規模などを洗い出し、それらの現象に移行する確率を算定。現在と同じ噴気異常や地殻変動を伴った群発地震の発生頻度は、2001年や1959~60年に似たような事例が起きていたことから、20年に1度と仮定した。

 その段階からの推移については、噴火に至る確率が4%、噴火せずに終息する確率は96%になった。噴火する場合の83%が現在想定されているタイプの水蒸気噴火で、溶岩ドームの形成や溶岩流の噴出は16%、噴煙が激しく立ち上るプリニー式噴火は1%と見積もった。

 ただ、いずれの現象も起きていない平常時を含めた活動シナリオの全体像でみると、噴火が起きる確率は0・2%にとどまる。

 小山教授は「数値を低いとみるか高いとみるかは、受け止める人や地域によって違う」との見解を示す一方、「伊豆東部火山群(静岡県伊東市など)では火山防災協議会が確率付きの火山活動シナリオを作成し、地域防災計画でも提示されている。箱根もこうしたシナリオを活用し、リスクを示すべきだ。火山防災協議会がもっと前面に出て危機管理に当たる姿を見せることが、住民や観光客の安全安心につながる」と強調している。

◆プリニー式噴火と溶岩ドーム
 プリニー式噴火は火口から大量の火山灰や軽石を噴出し、高い噴煙柱が立ち上る噴火様式で影響が広範囲に及ぶ。富士山で1707年に起きた宝永噴火がこのタイプだったとされ、火山灰は江戸にも降り積もった。マグマの粘り気が高い場合に溶岩があまり流れずに堆積してできるのが溶岩ドームで、箱根山では約3千年前の噴火で冠ケ岳が形成され、火砕流などを引き起こした。溶岩流はマグマの粘性が低いと発生しやすいが、地表を流れるスピードは速くない。


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