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山口県立大准教授・吉本秀子さん
時代の正体〈109〉沖縄「軍事占領だった」

時代の正体 神奈川新聞  2015年06月01日 10:56

吉本准教授
吉本准教授

 1972年の日本返還までの沖縄は米国に統治されていたのか、占領されていたのか。研究者の間でも論争が続く問いに山口県立大の吉本秀子准教授は「軍事占領だった」と結論付ける。米公文書館で米国防総省などの資料を読み込んだ成果はこの春、「米国の沖縄占領と情報政策」(春風社)として出版された。その目には、戦後70年を経ても現実を直視しない日本の姿が映っている。

 45年8月15日の敗戦から72年まで米国は沖縄を施政権下に置いた。連合国のうちオーストラリアやニュージーランドなどから、長引く駐留に批判が起こった。「外交を担当する米国務省には批判はまずいという認識があった」と吉本准教授は言う。
 

責任負う軍


 だが、沖縄への対応を担い続けたのは国務省ではなく、軍だった。50年には「軍司令官が経済政策の全責任を負う」とする戦時指令が更新され、最終責任者を国防長官とするUSCAR(米民政府)が設置された。

 その後の陸軍参謀文書にその体制を変更する指令が出された形跡はなかった。土地収用も統合参謀本部の指令で行われた。

 基地だけでなく経済的な施策もすべて、責任を負っていたのは軍だった。のちに軍司令官は「高等弁務官」という文官を思わせる名称に変更されたが、軍人であることに変わりはなかった。

 米国は沖縄への対応について一貫して「統治」と表現してきたが、実態は「軍事占領」だったということが米軍の文書からも裏付けられたと吉本准教授は考える。

子ども扱い



 研究を進める中で吉本准教授は「米国は、日本を大人の国とは見ていなかった」と実感したという。サンフランシスコ講和条約の調印に当時のトルーマン大統領は出席しなかった。日本の独立を決めた会議で日本の首相は米大統領に会えなかったのである。

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