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ニューグランド宴会場、改修へ 現構造残し耐震補強

カルチャー 神奈川新聞  2015年05月26日 03:00

耐震補強工事が行われることになった「レインボーボールルーム」(ホテルニューグランド提供)
耐震補強工事が行われることになった「レインボーボールルーム」(ホテルニューグランド提供)

 ホテルニューグランド(横浜市中区)が、横浜市認定歴史的建造物である本館の宴会場「レインボーボールルーム」の耐震補強工事に着手する。昭和初期の建造で、虹色の照明が照らし出す丸みを帯びた天井が特徴。当時のしっくい職人による最高傑作という。清水建設と連携し、最新技術を駆使、現在の構造をそのまま残す形での改修に挑む。ニューグランドの濱田賢治社長は「100年先を見据え、決断した。先人たちが築いた伝統を、次世代に継承したい」と話している。

 東日本大震災では、体育館や劇場などの大規模施設で天井が落下する事故が相次いで発生した。震災後に改正された建築基準法では日常的に人が出入りする場所にあり、高さ6メートル超、水平投影面積200平方メートル超、天井を構成する部材の質量が1平方メートル当たり2キロ超のつり天井を「特定天井」と規定。崩落防止措置を講じるよう求めている。

 レインボーボールルームの天井は、面積こそ約300平方メートルだが、高さは最も高い部分で5・6メートル。特定天井の条件には該当しないものの、利用客や従業員らの安全を考え、耐震補強を行うこととした。工事は清水建設が行い、期間は2016年6月からの4カ月間を予定。総事業費は、まだ算出できていないという。

 改修にあたりホテル側がこだわったのが、現状を維持しながらいかにして安全性を高めるか。ヨーロッパの薫りが漂う宴会場は、かつてボールルーム(舞踏室)として横浜の大人たちが集った社交場で、1927年の開業当時の雰囲気が、今もそのまま残る。

 「壊して、新しく造り替えるという選択肢もあったし、むしろその方が簡単でお金もかからなかった。しかし横浜市民の財産でもあり、それはできない」。濱田社長は、決断の理由をそう説明する。

 ただ、当時の図面すらない状況。清水建設が試行錯誤の末に考案した工事の方法は、天井のレリーフを「生かし取り」した後、天井に耐久性や強度の優れたメッシュのシートを貼り、ボルトで固定するというもの。空洞になっている天井裏では建物本体からワイヤを通すなどして、天井を支えるという。

 同社にとって初の試みであり、今夏にも実証実験を行った上で本工事に入る。ニューグランドでの成功事例を、同じような構造の天井を持つ他施設にも応用したい考えだ。担当者は「歴史的な建物は生かして使ってこそ、本当の意味での生きた建築物といえる。ホテル側の思いに共感しており、必ず成功させたい」と意気込んでいる。


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