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名門“象徴”9年で幕 横浜・マリノスタウン

スポーツ 神奈川新聞  2015年05月21日 03:00

閉鎖が決まったJリーグ屈指の施設、横浜F・マリノスの拠点「マリノスタウン」=横浜市西区
閉鎖が決まったJリーグ屈指の施設、横浜F・マリノスの拠点「マリノスタウン」=横浜市西区

 J1横浜F・マリノスのクラブ機能を集約した拠点「マリノスタウン」(横浜市西区みなとみらい)が閉鎖されることが決まった。クラブ幹部によると、高額な賃貸料はクラブ経営を圧迫し、チーム強化の障害ともなっていたという。名門クラブの象徴とも言えるJリーグ屈指の施設は、開設から10年足らずで幕を閉じる。

経営苦


 横浜駅から徒歩15分。天然芝や人工芝のグラウンド計4面に加えて約2千人が収容できるスタンド、クラブハウスには流水プール、大浴場もある。当時の横浜市長や、Jリーグのチェアマンらを迎えて華やかな完成式典を催したのは2007年1月。都市部の一等地に構えた拠点は、日産自動車から続く名門にふさわしい施設だった。

 ただ、クラブ関係者によると、賃貸料に光熱費などの管理費を加えた費用は年間約5億円。年間約40億円の経営規模のマリノスにとって、大きな負担になっていた。


Jリーグの新制度が拍車に




 経営環境やリーグの仕組みの変化も背景にある。

 08年のリーマン・ショック後、親会社の日産自動車はクラブへの広告費を削減。一方、Jリーグは12年、各クラブの経営の健全化を目的に財務など5分野を審査し、リーグ参加資格を与えるライセンス制度を導入した。

 同制度では3期連続赤字などになった場合、ライセンス交付がなされない。親会社への依存からの脱却を目指してきたマリノスは12年度決算で6億2900万円の赤字、累積での赤字は16億7700万円に上った。同制度の導入は「デッドラインが決まり、(赤字を減らす経営改革の)スピードを上げなくてはいけなくなった。余裕がなくなる誤算」(クラブ幹部)だったという。

 第22期(13年2月1日~14年1月31日)決算はチームの優勝争いの影響で、900万円の単年度黒字を計上し、さらに日産自動車からの10億円の損失補填(ほてん)を受けたことなどで、5期ぶりに黒字に転換した。債務超過解消の見通しも立ったが、クラブ幹部は「限界も見えた。毎年クラブを(ライセンス制度の)リスクにさらすわけにはいかない」との考えに至っていた。抜本的な解決には、マリノスタウン閉鎖はもはや避けられない道だった。


スクールの子どもたちはどうなる?



 現在、マリノスタウンにはサッカーを始めたばかりの3歳やプロを夢見る高校生年代のユース選手をはじめ、スクール生などの子どもたち約千人が通っている。トップチームは日産スタジアム(同市港北区)に隣接する補助競技場などで練習する方針だが、育成組織やスクールについてはマリノスタウンや新横浜の周辺で代替地を探しているほか、横須賀市や大和市で開催しているスクールの拡大も視野に入れている。

 ただ、利便性が悪化し、育成組織からトップチームまで同じ場所で過ごすのも難しくなる。中学生年代にあたるジュニアユースからマリノスタウンに通い、Jリーガーに成長した喜田拓也選手(20)は「憧れの選手たちの背中を見て、自分もプロを目指したいと思っていた」とマリノスタウンの持っていた付加価値を語る。

 「持続可能な成長をするため、最良の選択をした。これまでも力を入れてきた新横浜をさらにサッカーの中心地にしたい」とクラブ幹部。マリノスタウン閉鎖は、人気のあるビッグクラブを維持しながら自立した経営を目指すという難題に取り組む一歩になる。


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