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失火と放火の両面で捜査 川崎・簡宿火災

社会 神奈川新聞  2015年05月19日 03:00

全焼した簡易宿泊所を調べる警察官や消防隊員ら=18日午前、川崎市川崎区
全焼した簡易宿泊所を調べる警察官や消防隊員ら=18日午前、川崎市川崎区

 川崎市川崎区日進町で17日未明、簡易宿泊所2棟が全焼した火災で、川崎署と市消防局は18日、現場を捜索し、新たに性別不明の1人の遺体を発見した。これまでに確認された死亡者は計5人となった。遺体の一部も見つかっており、19日も逃げ遅れた人がいないか、捜索や現場検証を行う予定。

 複数の宿泊者は取材に対して、火元とみられる「吉田屋」では「玄関付近から激しい炎が上がっていた」などと証言しており、同署は失火と放火の両面で慎重に捜査を進める。消防庁も同庁職員と消防研究センター(東京都調布市)の専門家計8人を派遣した。

 利用者によると、玄関付近に火の気はなく、仕事で帰って来る人もいるため、普段は夜も施錠されていなかったという。

 川崎署によると、「吉田屋」の宿泊者名簿には44人、隣の「よしの」には30人の名前が記入されていた。このうち吉田屋の8人前後と依然、連絡が取れていない。ただ名簿に名があるが実際には宿泊していない例もあるとみられ、出火当時の滞在者が何人だったかは分かっていない。

 川崎市生活保護・自立支援室によると、川崎福祉事務所に2棟を住居として届け出ている生活保護受給者数は70人。災害などに遭った受給者には、状況に応じて日割りで再支給を受けられる。

 被災者には簡易宿泊所の組合が空き宿を提供するほか、市の施設を一時的に提供することも検討するとしている。


◇違法建築の可能性
 川崎市建築指導課は18日、市役所で会見し、全焼した2棟の簡易宿泊所がいずれも、建築基準法上の違法建築だった可能性があるとの見解を示した。同法では3階以上の宿泊施設を建築する場合、火が燃え広がりにくい「耐火建築物」にすることが定められているが、2棟はいずれも耐火構造にはなっていなかったという。

 火元とみられる「吉田屋」と、隣接する「よしの」はともに1960年に「木造2階建て」としての申請に対して市が同法に基づく建築確認をしていた。ただ、図面や利用者の証言などによると、内部は3階建ての構造だったという。

 吉田屋は登記簿上では2階建てで、同課は「まずは2階で建てて増築したのではないか」とみている。また「よしの」は登記簿上でも申請時の内容とは異なる木造3階建てで、増築した事実も記載されていなかった。いずれも完了検査はされていないという。

 市と市消防局は近く、市内約50カ所の簡易宿泊所に立ち入り調査を実施する方針。実際の建物の階数や避難経路、防火設備の維持・管理状況などを調べる。


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