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箱根火山のモデル化 温地研の現場から<7>

社会 神奈川新聞  2015年05月15日 12:47

 火山の活動状況を正確に診断するためには、モデル化が必要となる。つまり地下構造や、噴火前にどのような現象が発生するのか、それらを統一的に説明できるモデルがなければ、活動予測はより困難になる。

 2001年に箱根火山で群発地震が発生してから、地下構造の理解が進んだ。駒ケ岳の下、深さ7~10キロ程度にはマグマだまりがあり、群発地震の震源は深さ0~6キロの範囲であることが分かってきた。

 火山活動が活発化すると、さまざまな変化や現象が発生する。私は地殻変動や地震活動の変化に加え、噴気地帯の地表面温度や火山ガス濃度の異常(地表面現象)を考慮し、これらを時間軸に沿って統一的に説明するモデル(仮説)を10年に発表した。

 このモデルでは、箱根の火山活動は、深部のマグマだまりが膨張し、山体が膨張することから始まる。活発化したマグマから、熱水や火山ガスが上昇し、数週間程度で浅部に到達することで、群発地震を引き起こす。この群発地震の最中には地表面現象が発生する。鎌倉時代以降、箱根での噴火は知られていないが、地表面現象の後は噴火に至る可能性も考えられる。

 このモデルは仮説の段階であるが、箱根火山で起こる現象を非常に良く説明できている。いまのところ、これを否定する成果や別のアイデアはなく、支持する研究成果が徐々に増えている。
(温泉地学研究所主任研究員・原田 昌武)


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