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きれいなもの残したい 重度障害の男性が個展 「生命力」油彩に込め

カルチャー 神奈川新聞  2015年05月14日 03:00

自宅で絵を描く小島さん=相模原市緑区
自宅で絵を描く小島さん=相模原市緑区

 脳の病気の後遺症で全身がまひし、車いす生活を送りながら絵を描き続ける男性が相模原にいる。比較的まひの少ない左手に筆を握り、思いを込める。「いつ再発しても悔いがないように、生きている間はきれいなものをキャンバスに残したい」。現在、県立相模原公園内にあるサカタのタネグリーンハウスギャラリー(相模原市南区)では、作品22点が展示されている。

 同市緑区に住む小島一朗さん(47)は6年ほど前、細菌性心内膜炎から脳幹梗塞を発症。医師から「手術しても助かる見込みは1%、助かっても植物状態」と家族に伝えられたという。手術は成功したが、右半身不随など重い障害が残った。

 退院後、入所した障害者施設でリハビリとして水彩画を勧められた。利き手はまひが強かったため、まひの少ない左手に筆を取り、絵を描き始めた。

 もともと美術大学を目指していた小島さん。まひしている左手では、思うように絵は描けなかったが、車いす生活の楽しみになった。1人暮らしをする今は、自宅の机に向かって毎日筆を取り、個展も開催してきた。

 今回の油彩画展のタイトル「生命力」には忘れられない思い出がある。

 入院で呼吸器を付けて寝たきり生活を3カ月ほど送っていたころ、久しぶりに菓子を口にした。手術後、初めてのチューブ以外の食事。その匂いや味に感動して、家族の前で涙を流した。生きていること、五感があることのすばらしさを痛感した。

 「果物には匂いがあって、触れば冷たい。ワイングラスの周りには空気がある」と説明する。会場にはテーブルに置かれた果物や、ろうそくが燃える様子などを描いた油彩の静物画が並ぶ。

 「生かされているから筆も持てる。子どもからお年寄りまで和めるような絵が描きたい」

 展示は24日までで、入場無料。


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