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秦野発信へ名乗り 東京五輪聖火トーチ制作 工場跡取りら技術力PR

話題 神奈川新聞  2015年05月14日 03:00

東京五輪の聖火トーチの企画・製作を申し出るという異例の挑戦を始めた秦野工業協同組合・ジュニア会のメンバー=秦野商工会議所
東京五輪の聖火トーチの企画・製作を申し出るという異例の挑戦を始めた秦野工業協同組合・ジュニア会のメンバー=秦野商工会議所

 秦野市で中小工場の跡取りらが壮大な挑戦を始めた。金属加工や板金などの技術を結集し、2020年の東京五輪で使用する聖火トーチの企画・製作を射止めようという計画だ。「秦野のものづくり」の地域ブランド化の旗印にと、心に炎をともす。

 企画を立ち上げたのは、秦野工業協同組合に所属する企業の2代、3代目を中心とする「ジュニア会」のメンバー27人。かつて秦野市最大のイベント「秦野たばこ祭」で、弘法大師役の市長が持つ松明(たいまつ)を製作した実績があり、東京五輪の聖火トーチの製作を思いついたという。

 突拍子のない計画の裏には熱い思いがある。かつては百数十社あった同組合に所属する企業も廃業が続き、いまや90社に減少。現在も08年のリーマン・ショック後の不況を脱し切れていない工場が大半だ。トーチ製作特別委員会の福森真司委員長(45)は「なんとか工業都市秦野を復活させ、街を元気にするきっかけがほしかった」と語る。

 会員の工場には金属加工から精密板金、プレス、鋳物、運送まで多彩な技術がそろう。福森委員長は「技術力も高く、その気になれば造れないものはない」と自負する一方、「部品などの下請けが多いため完成品が少なく、食品などと違い『地域ブランド』などとして認知されるのが困難」と悩んできた。

 そこでブランド化の象徴にと考えたのが、聖火トーチだ。すでに経済産業省や東京五輪組織委員会、日本オリンピック協会、東京都などに企画・製作を願い出る「提案書」も作成。近日中には発送する。

 1998年の長野冬季五輪では聖火のトーチ製作を地元企業が請け負った例もある。ジュニア会は「提案書を受け取ってもらえるかすら、分からない。でも可能性がゼロではないのなら、やってみないと何も始まらない」と動きだした。

 今後は組織委からの反応を待つとともに、聖火トーチを念頭にまずは今年のたばこ祭で使う新たな松明を造る予定だ。

 「無謀な挑戦とは分かっている。でも動いていれば、別の新たな道が開けるかもしれない。『ジュニア』の僕らが次の子どもたちの世代に何が残せるか。秦野にもこんなにいい企業や、技術があるんだよと伝えたい」と福森委員長。

 頼まれれば何でも造る、造ってみせる-。その気持ちをたぎらせることこそが、技術屋の「ブランド」になると信じている。


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