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中核市移行へ温度差 特例市廃止で県内5市

政治行政 神奈川新聞  2015年05月11日 03:00

 大都市制度の一つ「特例市」が4月に廃止された。都道府県から権限移譲が進んだ一般市との違いが小さくなったためだ。県内五つの特例市は今後、権限のより大きな「中核市」を目指すか、従来の権限のままでいるか選ぶことになる。保健所設置などによる住民サービス向上を目指す市がある一方、財政負担増を前に慎重姿勢を崩さない市もあり、対応は分かれている。

「住民サービス向上」

 移行に積極的なのは、茅ケ崎市だ。昨年4月に移行に前向きな姿勢を打ち出した服部信明市長は、4選を果たした先の市長選で、「2018年4月」と具体的な移行目標を掲げた。

 移行に不可欠な保健所の設置については、2年前から県と協議。こちらは17年4月の開設を目指している。服部市長は「新たな権限移譲で自主的に運営していくのが、自治体のあるべき姿。将来の可能性を広げ、住民サービスの質も高まる」と中核市移行の必要性を強調する。

 小田原市は特例市廃止が決まった昨年度から移行を検討してきた。人口が20万人を割り込んだため、中核市になるには経過措置の20年3月が期限だが、1年早い19年4月の移行を目指す。

 担当課は、県と市の業務が重なっている母子保健サービスなどで効率的なサービスが提供できるメリットがある一方、デメリットは「特に見当たらない」と指摘。権限移譲に伴う費用負担は、普通交付税の増額を見込む。加藤憲一市長は「人口減や高齢化が避けられない県西地域の実質的な中心市として、基礎自治体の機能を強化しなければならない」と意気込む。

「財政負担増が課題」

 これに対し、平塚、厚木、大和の3市は慎重姿勢を取る。「政策の意思決定を自分たちでできる」(平塚)など、それぞれ移行のメリットを認識するものの、医師や獣医師らの人材確保と費用負担が求められる保健所の設置が大きな課題となっている。

 厚木市は、約140人の人材確保を含め設置費用を37億円と試算。小林常良市長は「健康や医療の充実が図れる効果がある」とするものの、地方交付税の不交付団体であることから「財源問題は慎重に考えなければならない」と話す。平塚市の落合克宏市長は財政負担の増加を課題に挙げ、「今年中に方向性を決めたい」。大和市の大木哲市長も「慎重に検討する」としている。

 県内の中核市は現在、横須賀市のみ。その横須賀を上回り3政令市に次ぐ県内4位の人口を誇る藤沢市は、制度上は今も一般市だ。06年に保健所を設置するなど権限拡大に積極的だが、中核市移行には制度創設当初から「財政的なメリットがない」として否定的な立場を取る。

 選挙戦で中核市移行を訴えた鈴木恒夫市長が12年に就任、移行の是非を再検討し始めたが、最近は「特区や権限移譲で柔軟に進めていくことが大切」と中核市にこだわらない考えを示している。担当課は「財源移譲もなく仕事だけが増える形では、(移行の)意義が見いだしづらい」と話している。

◆中核市と特例市 いずれも地方自治法で規定される大都市制度の一つ。1995年に創設された中核市は、通常は都道府県にある保健所設置や保育所の認可などの権限を持つ。4月施行の改正法で、人口要件が30万人以上から20万人以上に緩和された。特例市は2000年に制度化され、土地区画整理組合の設立認可などの権限が移譲される。廃止に伴い、中核市に移行するにはあらためて手続きが必要。人口が20万人を下回っていても、5年間は移行できる経過措置が設けられている。


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