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要警戒、長期化も 箱根山 火山活動から2週間 温地研前所長ら指摘

社会 神奈川新聞  2015年05月10日 03:00

箱根山の地震回数の推移
箱根山の地震回数の推移

 箱根山(箱根町)の大涌谷周辺で火山活動が活発化してから10日で2週間となる。火山性の群発地震とともに激しい噴気や地殻変動が続き、小規模噴火の恐れがあるとして初の立ち入り規制も実施されているが、過去には同様の火山活動が数カ月後に終息したケースもある。気象庁より密度の高い観測網を敷く県温泉地学研究所でかつて分析や研究を主導した専門家は、噴火警戒レベルの高い状態が長期化する可能性を指摘している。

 「事態が急激に進展し、数日中に何らかの現象が発生する可能性は否定できない」。そう前置きしつつ、温地研前所長の吉田明夫・静岡大学客員教授は指摘する。「1カ月ぐらいは推移を見守る必要がある」

 念頭にあるのは、半世紀近い温地研の観測史上最大だった2001年の群発地震だ。6~10月に及んだ活動では、震源を正確に見極めることができた地震だけで4千回を超え、大涌谷の北側斜面に新たな噴気地帯が出現。だが、温泉供給施設の蒸気井からごう音とともに大量の蒸気が噴出する現象が起きたのは、活動が始まってから1カ月後の7月中旬以降だった。

 温地研の観測で震源を見極められた地震回数が既に1500回に達し、蒸気が勢いよく噴出し続けている今回の活動は「01年と同じかそれ以上」(温地研の竹中潤研究課長)との見方が多い。

 吉田氏も同様の認識を示す一方、「東日本大震災直後の群発地震のように、最初の短期間に地震が集中したケースもある。これまで数年に1回程度繰り返されてきた活動にはそれぞれ個性がある」と分析。今後については「噴火などが起きるとしても、小規模で限定的なものだろう。それ以上の兆候は今のところ出ていない」とし、「危険な区域は既に立ち入りが規制されている。過度に恐れる必要はない」と強調する。

 規制に伴い観光への影響が懸念されているが、国立研究開発法人防災科学技術研究所で地震・火山防災研究の副ユニット長を務める棚田俊收氏は「まずは安全を優先すべき。箱根のような知名度の高い観光地がいち早く規制を始めたことは、むしろ火山防災のモデルケースと受け止めるべきだ」と評価する。

 かつては温地研の主任研究員を務め、01年の群発地震も調査した。「当時は火山ガスの臭いが非常に強く地殻変動も明瞭だったが、それでも噴火には至らなかった」

 ただ、5段階の噴火警戒レベルという新たな防災対応の指標が導入された後の今回については「地震や地殻変動、蒸気といった現象が全て収まらなければ、レベルの引き下げは難しい」とし、影響や規制が数カ月程度に及ぶ可能性があるとみている。

 自らも整備に関わった温地研の観測網は「全国の活火山の中でもかなり整っている」。しかし、「規模の大きいマグマ噴火なら兆候をつかめるはずだが、現在想定されているような水蒸気噴火は困難。観測網をさらに強化し、人員を増やす必要がある」と噴火予知の課題と難しさを指摘する。

 大涌谷周辺は9日も活発な活動が続き、気象庁によると午後3時までに69回の火山性地震が発生した。温地研の観測では午後7時までで177回に上り、大涌谷や付近の二ノ平で震度1~2相当の揺れが8回あった。噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)が続いている。


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