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地下深部からの便り 温地研の現場から〈6〉

社会 神奈川新聞  2015年05月08日 10:59

噴気ガス採取の様子。チタン製のパイプを噴気孔に差し込み、二口注射器で吸引して噴気ガスを採取する
噴気ガス採取の様子。チタン製のパイプを噴気孔に差し込み、二口注射器で吸引して噴気ガスを採取する

 火山ガスは地下からの手紙である。現代社会ではメールと表現した方がなじみやすいだろうか。

 火山ガスは、地下深くにあるマグマから水蒸気を含むガス成分が分離して上昇したものであり、火山の活動状況を反映する多くの情報をわれわれの元に運んでくれる。この情報を正しく読み解けば、火山活動の活発化の兆しを捉えられる可能性がある。

 箱根の大涌谷で見られる噴気にも火山ガスが含まれており、当所では東海大学の大場武教授と協力して、この噴気ガスの成分を定期的に調査している。その結果、箱根山の火山活動の活発化に伴って、噴気ガスに含まれる硫化水素に対する二酸化炭素の割合が高まることを突き止めた。

 また、この割合は、火山活動の低下とともに下がっていくことから、箱根火山の活動指標の一つとして大変有効であると考えている。現状では、研究員が定期的に現場に行き、噴気ガスを採取して分析する必要があり、リアルタイムで噴気ガスの成分を分析できる装置やシステムの開発が、今後の課題である。

 噴気ガスの分析・研究を継続し、火山活動の活発化に対応して、なぜ噴気ガスの成分が変化するのか、そのメカニズムの解明を目指したい。

(温泉地学研究所主任研究員・代田 寧)


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