1. ホーム
  2. 社会
  3. 風力使い水素製造 トヨタ、横浜市など実証へ

風力使い水素製造 トヨタ、横浜市など実証へ

社会 神奈川新聞  2015年05月05日 10:31

横浜市民の環境行動のシンボルとされている風力発電「ハマウィング」
横浜市民の環境行動のシンボルとされている風力発電「ハマウィング」

 次世代エネルギーとして期待されている水素の低炭素化と本格的な利活用に向けた実証事業が本年度から、横浜市の風力発電「ハマウィング」などを活用して行われる見通しだ。トヨタ自動車と横浜市、県、川崎市が連携。ハマウィングの電力で水素をつくり、倉庫などで燃料電池フォークリフトを稼働させ、課題や改善策を探る。水素社会を見据えた最先端の試みとなる。

 環境省などによると、同省が公募していた「地域連携・低炭素水素技術実証事業」の一つ。トヨタが代表事業者として応募し、4月に採択された。5~6月中には委託契約を結ぶとみられる。

 利用段階において二酸化炭素(CO2)を出さない水素は地球温暖化対策に重要なエネルギーとして注目され、水素で走る燃料電池車(FCV)が市場投入されるなど利活用に注目が高まっている。県内でもFCV向けの水素ステーションが設置され始めている。一方で、水素は製造や輸送時にCO2が排出される場合もあり、必ずしも従来のエネルギー利用と比較してCO2が削減されるとは限らない。

 同事業では、地域の再生可能エネルギーや未利用エネルギーを活用して水素を製造、貯蔵、輸送、供給し、燃料電池車などへ利用するまでの全過程を実証。水素の製造から利用までに排出されるCO2のさらなる削減と、地域での水素利用の大幅拡大を目指す。

 具体的に同社が提案した実証事業では、横浜港・瑞穂ふ頭に設置されているハマウィングからの電力を使って水素を製造、簡易な移動式水素充填(じゅうてん)設備で運び、近隣の倉庫や市場、工場などで稼働させる燃料電池フォークリフトに使う。クリーンな風力エネルギーの活用により水素製造時のCO2排出量を減らす。ほかにも製造から利用までの各過程を実証することで、コストの低減や技術的な改善、普及に向けた課題などを浮き彫りにしていく。

 事業期間は2015年度から18年度までの4年間を予定。ハマウィングは建設費を捻出するために発行した市債の償還が16年度に終了するまでは従来の売電を続けるため、水素の供給源として近隣工業地帯から副次的に発生する副生水素の活用も検討する。

 フォークリフトの一部を川崎市内で使うなど、同市と県との連携の詳細についても今後詰めていく。横浜市温暖化対策統括本部は「横浜をフィールドにした実証事業で、再生可能エネルギーを使った水素製造や燃料電池車以外での水素利用拡大に弾みがつけばうれしい」と話している。

 ◆ハマウィング 横浜市神奈川区鈴繁町に設置されている風力発電。2007年3月に運転を開始し、年間発電量は一般家庭約500世帯分の年間消費電力に相当する約220万キロワット。約5億円の建設費は国の補助金と市債で調達。運営費と市債の償還財源には、企業からの協賛金と売電収入が充てられている。羽根の直径は80メートル。羽根も含めた高さは約118メートルで、横浜マリンタワー(106メートル)よりも高い。


シェアする