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神縄・国府津-松田断層帯 3区域 別々に地震

社会 神奈川新聞  2015年04月25日 09:52

新たに認定された三つの断層帯
新たに認定された三つの断層帯

◇危険性、名称見直し 調査委が新解釈
 政府・地震調査委員会は24日、県西部の複数の活断層からなる「神縄・国府津-松田断層帯」の断層構成や危険性の評価を大幅に見直し、名称を「塩沢断層帯・平山-松田北断層帯・国府津-松田断層帯」に変更した。従来は断層帯全体でマグニチュード(M)7.5の大地震を発生させるとみていたが、新たに区分した三つの断層帯は別々に地震を起こすとの新解釈を示した。

 地震調査委は見直しについて「最近の地下構造探査で得られた成果やこれまでの知見を総合的に判断した」と説明。「三つの断層帯は断層の向きや地震活動の履歴などが異なっており、全体が一体となって活動することはない」との結論を導いている。

 従来の神縄・国府津-松田断層帯は、将来の地震発生確率(30年以内で最大16%)が日本の内陸の活断層で最も高かった。しかし、今回の見直しで3断層帯それぞれの確率は最大でも5%と低くなっている。

 単独で地震を起こす可能性があるとされたのは、最も内陸の塩沢断層帯と中間に位置する平山-松田北断層帯。海側の国府津-松田断層帯は相模湾に延びるプレート境界部「相模トラフ」に地下でつながっており、単独では地震を発生させないと判断した。

 山北町から静岡県御殿場市付近へ至る塩沢断層帯は、地表で確認できる範囲以外にも南西方向の地下に伏在していることが判明。長さが15キロ以上に及ぶ可能性があるため、M6・8かそれ以上の大地震を起こし得ると位置付けた。ただ最新の活動時期は不明で、今後30年以内の地震発生確率は4%以下と算定した。

 平山-松田北断層帯は、南足柄市や山北、開成、松田、大井町に分布する平山、日向、松田山山麓、松田北の各断層などで構成される。全体が活動すると、M6・8程度の大地震を起こす恐れがあり、30年以内の確率は0・09~0・6%と見積もった。最新の活動は2700年前の可能性があるという。

 一方で、同断層帯北側の神縄断層は約35万年前までに活動を停止したと判断し、評価対象から除外した。

 主に小田原市東部から大井町へ延びる国府津-松田断層帯については、海域部を含め長さが35キロ以上になるとの見解をまとめた。従来は神縄・国府津-松田断層帯の主要部とされてきたが、「分岐断層」のため単独では地震を起こさず、相模トラフで繰り返し発生するM8級の巨大地震と連動する場合があると判断した。地震の発生確率も、相模トラフのM8級の評価(30年以内で最大5%)に含まれるとしている。

 直近の連動地震は、鎌倉時代の1293年に起きた永仁関東地震が該当するとみている。将来同じタイプが起きると、断層付近の地表面に3メートル程度の段差が生じると推定している。


◇最新知見も解明途上 =解説=
 今回の活断層評価の見直しは最新の知見を可能な限り反映させたものだが、「完成版」ではない。解明がさらに進めば、地震の発生確率も含めて修正の可能性があるという点に注意が必要だ。

 直下地震を引き起こす内陸の活断層の危険性が広く認識されるようになったのは、1995年の阪神大震災がきっかけだ。以来、国は神縄・国府津-松田断層帯を含む約100の主要活断層を調査し、過去の地震発生時期を絞り込んだ上で将来の確率を算出してきた。

 しかし、活断層は地表に現れているとは限らず、地形から判読できる範囲は限られている。地下構造の解明が欠かせないが、県西部は海側のフィリピン海プレート(岩板)が日本列島を載せた陸側のプレートの下に沈み込んでいる影響で地形や地質構造が複雑なため、痕跡を特定しにくいとされる。

 断層帯を構成する日向断層の活動度を過去に分析した県温泉地学研究所の萬年一剛主任研究員は「火山灰や堆積物に覆われているため、相当深く掘らないと分からない」と難しさを挙げる。断層構成や名称の変更に踏み切った地震調査委も「特殊な断層帯であり、引き続き知見を積み重ねる必要がある」とし、なお未解明な点があると認めている。

 こうした現状を踏まえ、萬年主任研究員は「今回の評価だけでは、この地域の危険性は見極められない。見直しによって、リスクが高まったとも、低くなったとも言い難い」と指摘する。

 小田原は江戸時代以降、繰り返し大地震に襲われてきたが、それらの震源は断層帯とは異なると地震調査委は判断している。将来も別の場所や未知の活断層で大地震が起きる恐れがあり、確率の数値にとらわれずに耐震化や備蓄などを進める以外にない。


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