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横須賀市議選 基地問題 低い関心

政治行政 神奈川新聞  2015年04月23日 12:30

横須賀市汐入町のヴェルニー公園からは米海軍の艦船を臨める。市民にとって基地は日常風景の一つだ
横須賀市汐入町のヴェルニー公園からは米海軍の艦船を臨める。市民にとって基地は日常風景の一つだ

 在日米海軍のイージス艦2隻が今夏に追加配備され、原子力空母は今秋にも交代する大きな節目を迎える基地の街・ヨコスカ。現在行われている横須賀市議選(26日投開票)では、基地問題は告示前から争点の一つと目されたが、ふたを開ければ大半の候補者が取り上げていない。同じく基地問題で民意が沸騰する沖縄県とは様相が異なり、市民の関心はいまひとつ。候補者にとって優先度は低いようだ。

■わずか1人
 告示日の19日。選挙戦スタートの号砲とともに、同市中心エリアの京急線横須賀中央駅周辺には選挙カーが行き交い、候補者も続々と姿を現し熱弁を振るった。

 同日午前9時から午後5時まで、同駅周辺で足を止めて演説した候補者は9人。ほぼ全員が昨年に転出超過で全国ワーストになった市の人口減少を引き合いに、子育て支援や高齢者介護の充実、中学校の給食問題、経済活性化などを訴えた。空母交代など基地問題に触れたのは、わずか1人だった。

 2008年9月から米海軍横須賀基地に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントンは大規模修繕などのため、今秋までに米国本土に戻る。同型の原子力空母ロナルド・レーガンが後継艦となる。さらに、今夏にはイージス艦2隻が配備される。アジア太平洋地域における米軍の戦力増強の一環だ。

 原子炉2基を搭載する空母の安全性への懸念やイージス艦増隻により米兵が増えることなどで市民生活への影響は避けられない。

 しかし-。

 「うーん、難しいですね」。ある候補者は考えを巡らせながら言った。「確かに空母交代は大事な問題。でも個人としては政策はすぐ効果的に変えられるものという目線でほかの問題を優先する。基地は10年後もクリアになっているとは思えないので」

 米海軍基地を含む市内の米軍施設では、約5千人の日本人従業員が働いており、基地内に出入りする業者も多い。こうした背景もあり、正面から論じるのは「難しい」という。
■沖縄と違う
 今期限りで市議を引退する一柳洋さん(65)は「横須賀は軍都150年の歴史があり、うち70年間を米海軍基地で食っているわけで、沖縄とは全然違う。基地問題に関心のある有権者は2、3割いるが、論理的に語れる候補者も少ない」と指摘する。元をたどれば現在の米海軍基地は旧日本海軍のあった場所だ。軍港都市として発展した市民の気風として「基地があることへの拒否反応は薄い」とみる。

 長年市議を勤めてきた山下薫さん(78)も同様に推察する。「そもそも市民感情はそちらには向いておらず、大半は『国是』とさえ思っているはず。基地問題を票につなげられる候補者は限られている」

 有権者も空母の交代は知っているものの、「詳しいことは分からない」と首を振る人が多い。市民の関心が薄いから候補者も問題提起を敬遠するのか、あるいはその逆なのか。

 基地とともに歩む独特な街の成り立ちも念頭に置きながら、一柳さんは言った。「票を目当てにしてはいけない課題。横須賀の議員だったら、正面からしっかり向き合ってほしい」


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