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消える学校、後継不足… 山北町で進む少子高齢化

社会 神奈川新聞  2015年04月21日 10:19

統廃合に伴って閉校した山北町立清水小学校(左)と町立清水中学校(右)。有効な跡地利用が期待される=同町川西
統廃合に伴って閉校した山北町立清水小学校(左)と町立清水中学校(右)。有効な跡地利用が期待される=同町川西

 人口減とともに少子化が進み、公立小中学校の統廃合が加速している。県内の2014年度の学校数は10年前の04年度から28校減った。地域住民の思い出が刻まれ、子どもの成長を願う親心と地域の衰退を懸念する住民の郷土愛が交錯する統廃合。デリケートな問題をはらむだけに地域の将来像を描いた対策が求められている。

 「友達、たくさんできるかな」

 今春から山北町立川村小学校(同町山北)に通う6年生の女子児童(12)は1年生のように期待を膨らませていた。

 それまで在籍していたのは、川村小から6キロほど離れた町立清水小学校(同町川西)。卒業生は1960年度の75人がピークで、2006年度は初めて10人を割り込み8人となった。そのころから両校の統廃合が検討され、本年度に川村小の校舎を利用して新生・川村小が開校した。

 清水小の昨年度の全校児童は31人。女子児童の学年は3人で、2人が病欠となる日もあったという。「学校生活は楽しかったけど、寂しさもあった」と口にする女子児童。児童の学習状況に応じた指導ができるメリットもあるが、保護者からは児童の向上心や多様性を育む教育環境への影響を懸念する声が上がっていた。

 川村小で6日に行われた開校式・入学式では、2年生約60人が元気いっぱいのダンスなどで新入生を歓迎。女子児童は「大勢で、にぎやか。楽しい学校生活にしたいな」と心を弾ませた。

 一方で、地域の行く末を案じる住民もいる。清水小の地元である清水連合自治会長を務める男性(72)は「子育て世代が離れ、高齢化に拍車が掛かる。いずれ地域の担い手はいなくなってしまう」と不安を隠さない。

 足柄茶の産地である同地区では生産農家の高齢化も進み、後継者不足に直面している。そんな状況で、町立清水中学校は14年春に統廃合に伴って廃校となり、小学校も続いた。「地域の基幹産業を守るために後継者を育てなければ」と危機感を募らせる生産農家にも、厳しい現実が押し寄せる。

 打開策として期待しているのが跡地利用だ。同連合自治会は03年度末に閉校した相模原市緑区(旧藤野町)の町立篠原小学校跡地を視察。地元住民らでつくるNPO法人が校舎を活用して簡易宿泊施設を運営し、13年は年間約6千人が利用したという。会長の男性は「地域活性化につながっている」と実感したという。

 少子化による統廃合の流れは都市部でも例外ではなく、民間と連携した跡地利用が始まっている。

 この10年で公立小学校12校が減った横浜市では、06年4月に閉校した市立並木第三小学校跡地(同市金沢区)にリハビリテーション病院を誘致。土地と校舎を売却し、コミュニティーハウスと防災備蓄倉庫を整備してもらう代わりに市が賃料を支払うことを条件にし、実現した。

 もっとも病院開設は閉校から約6年後のこと。人口減が比較的急速に進んでいる郡部に残る猶予は少ない。足柄茶の農家でもある男性は「小さな町に誘致できる施設は限られ、モタモタしていれば手遅れになる。明るい未来につながる早急な対策が必要だ」と訴えている。


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