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“津久井の証人”存続を 収蔵品の散逸心配 3月末に休館郷土資料室

カルチャー 神奈川新聞  2015年04月15日 09:45

津久井湖底に水没した地域で使われていた民具
津久井湖底に水没した地域で使われていた民具

 建物の老朽化を理由に、相模原市緑区中野の市津久井郷土資料室が3月末に休館した。60年以上にわたり地元を見詰めてきた“歴史の証人”だが、市立博物館によると2017年度以降に解体される予定という。地元住民からは津久井の歴史を語り継ぐ場として、資料室の存続を望む声が上がっている。

 津久井郷土資料室は、1952年に県蚕業取締所として建築された建物を利用して、71年に開設。津久井湖底に沈んだ地域で使われていた民芸品や、旧相模湖町出身の郷土史家・鈴木重光が収集した文化資料、地元住民が寄贈した資料など約1万5500点を収蔵する。

 地元住民が原稿用紙に手書きでつづった郷土史など、市井の人々の暮らしぶりが伝わる資料も数多く並んでいた。水没した集落から寄贈されたアユを運ぶかごなどの民具は、今はなき湖底に沈んだ地域の暮らしをしのばせる。

 市博物館によると今後、収蔵資料を精査・分類し、展示場所や保管場所を決めるという。地元の市民グループ「屋根のない博物館」代表の保坂健次さん(67)は、「普通の人々の記録がたくさんある。この資料は、どこに行ってしまうのか」と散逸を心配する。

 県蚕業取締所だった建物の解体についても、惜しむ声が上がる。かつて養蚕業が盛んだった旧津久井郡は、50年代には2千戸近い養蚕農家があった。その後、養蚕業は衰退し、2010年には同郡内に3戸残っていた農家がすべて廃業した。

 最後の養蚕農家の一人だった緑区根小屋の菊地原稔さん(80)は、「県蚕業取締所は、かつて津久井で養蚕が盛んだったことを示す場所。建物として残して、資料室を継続してほしい」と話している。


3月末に休館した「市津久井郷土資料室」=相模原市緑区中野
3月末に休館した「市津久井郷土資料室」=相模原市緑区中野

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