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東証一時2万円「追い風」 期待膨らむ県内企業

経済 神奈川新聞  2015年04月11日 03:00

日経平均株価が15年ぶりの2万円台に乗った10日午前。モニターを食い入るように見詰める人も=横浜市西区
日経平均株価が15年ぶりの2万円台に乗った10日午前。モニターを食い入るように見詰める人も=横浜市西区

 10日の東京株式市場で日経平均株価(225種)が一時、2万円を回復した。2000年4月以来約15年ぶり。円安進行で企業業績が改善し、国内外の資金が市場に流入した。バブル崩壊後の長期低迷を経て、日本経済は再生に向け一歩前進した。足踏みしている個人消費の改善がデフレ脱却への鍵となる。

 県内企業からは15年ぶりの大台を歓迎する声が相次いだ。専門家は「いったん落ち着く可能性はあるが、株高の基調は続くだろう」と予測。その恩恵が今後、中小企業や個人消費にまで波及することを企業側は待ち望んでいる。



 「円安、賃上げ、原油安によって、企業業績が改善するとの期待がある」。浜銀総合研究所の北田英治調査部長は、大台を回復した背景をこう分析する。

 円安基調で好調な輸出関連だけでなく、賃上げで内需型企業の業績も今後改善することに加え、原油安が業績・個人消費の双方を後押しする“追い風効果”を発揮することが期待される。

 今後について、北田部長は「決算と収益見通しを見極めながらの展開となり、いったん落ち着く可能性がある」としつつ、円安や緩やかな景気回復で株高の基調は続き、「年度末にかけて2万1千~2千円もあり得るのではないか」と予測する。


 百貨店業界は既に、好影響を実感している。横浜高島屋(横浜市西区)では、とりわけ高級腕時計の売れ行きが良い。「株高が続けば消費マインドが上向く」と同店。中期経営計画を策定中のファンケル(同市中区)も高値傾向を歓迎し、「中計の策定・実行に追い風が吹く」と言葉に力がこもる。

 「久しぶりに明るい話題」と声を弾ませたのは横浜市内の建設会社社長。長引いた消費増税の反動や建設コストの高騰など、業界を取り巻く状況は明るくない。大企業の業績が改善されれば、メーカーを中心に設備投資が進む。そうなれば「当然、業界が潤う」。中小企業にまで及ぶには半年から1年のタイムラグがあるだろうが、「全体に波及して設備投資がより促進されれば」と願う。

 大企業の業績に左右されやすい中小企業。「薄日が差してきた証しだ」。機械設計を手掛ける綾瀬市内の会社社長は喜ぶ。大企業に体力がつけば、業界の裾野にも好影響を生む。「リーマン・ショックなどいくつも試練を乗り越えてきた。希望が見えてくるまで、もうひと踏ん張りだ」と意気込んだ。

 海外市場が拡大する一方、国内市場が縮小する自動車産業。部品メーカーの担当者からは「株高の影響は限定的」との声も聞かれた。


 「リーマン・ショック後には7千円台割れも起きた。それからすると本当に時代が変わった」。横浜市栄区の男性(68)は感慨深げだった。横浜駅西口にある証券会社の店頭モニター。刻々と映し出される株価を見上げる個人投資家たちの姿があった。

 投資歴6年の男性(64)=同市泉区=も株高の恩恵を受けた一人だ。90円台で購入した金融会社の銘柄が8倍超まで上昇。600万円する国産高級車の車種を挙げ、「現金一括で買えた」と声をひそめた。

 ただ、男性は「上昇が続く見方もあるが、(最新の雇用統計が市場予想を大幅に下回った)米国経済の悪化などリスク要因はいろいろある。浮かれてばかりもいられない」と自戒した。

 今後への不安を口にしたのは、年金生活の傍ら、株を運用しているという男性(76)=同市瀬谷区。「バブル再来のような気がしないでもない」

 右肩上がりの背景に、政府系ファンド・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国民の年金運用の方法を見直し、日本株を買い支えしているとの専門家の指摘があることを挙げ、「いわゆる“官製”相場でもある。その相場を支えるものがなくなったとき、一体どうなるか。それを考えると怖さも覚える」。

 同市金沢区に住む男性(72)は2万円台乗せを「下を向くばかりよりは当然、明るいニュース」とした上で、「実体経済は悪いままで株高が一人歩きしている。景気全体がよくなったわけでなく、これだけでアベノミクスの評価にはつながらない」と手厳しい。

 男性もまたGPIFの動向を挙げながら、「この好調ぶりが本物かどうかを見極めるのは難しい。確かな成長につなげられるか、国や大企業の今後の役割こそ大きいと思う」と指摘した。


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