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人口増の横浜北部でも空き家 「相続用」も不安広がり

社会 神奈川新聞  2015年04月07日 09:52

空き家をコミュニティーサロンとして活用する取り組みも始まっている=横浜市青葉区奈良町の「街の家族」
空き家をコミュニティーサロンとして活用する取り組みも始まっている=横浜市青葉区奈良町の「街の家族」

 全国的な課題となっている空き家問題が県内でも顕在化している。人口が増えている横浜市北部の郊外でも空き家が見られるようになり、まちの活力の低下やコミュニティーの崩壊など漠然とした不安が広がっている。 

 東急田園都市線青葉台駅からバスで約20分。こどもの国にほど近い同市青葉区奈良町はスーパーや病院、公園などが整備された閑静な住宅地だ。

 一方で開発から40年がたち、住民の高齢化とともに空き家も目立ち始めている。

 大きな出窓が目を引く一軒家も約8年前から空き家になっていた。家主は80代女性。20畳の大型リビングルームを含む3LDKの庭付き木造2階建ては高齢の1人暮らしには広過ぎて、都内に転居した。家を継いだ40代の長女は仕事で海外暮らしを続けているが、わが家への思い入れは母娘ともに強く、手放すことなく維持してきたという。

 3年前、まちづくり支援団体「横浜プランナーズネットワーク」の仲介で地域の有志につながり、この空き家は「街の家族」と名付けられ、地域住民の交流拠点として活用され始めた。

 街の家族発起人の一人である小笠原弘さん(73)は1997年から区内に暮らす。「青葉区はここ10年で急に高齢者が増えた。住民同士がつながりを深め、空き家も街の資源として生かせる地域にならなければ、今のままでは高齢者が資産と年金を使い果たしたら何も残らない」と嘆く。

 同区の住宅開発を進めてきた鉄道会社も危機感を強めている。

 東急電鉄は50年代後半から、田園都市線の郊外で大規模な住宅開発を進めてきたが、当時入居した世帯が高齢になり、駅近くのマンションや介護施設に移るケースが増えてきた。空いた郊外住宅をリフォームして子育て世代を呼び込むという循環が理想だが、「共働き家庭の増加や持ち家志向の変化などで、郊外の魅力が低下しているのは事実」(広報部)と焦りを隠さない。

 同社は同市と2012年から、同区のたまプラーザ地区で郊外住宅地の再生プロジェクトを展開。空き家の流通促進や活用についても取り組む予定だ。空室率が高く老朽化した社宅や賃貸マンションなどを同社がリノベーション費用を負担した上で借り上げる「まるごとフルサポート(まるサポ)」事業も手掛け、「街は人が住むことで潤う。時代に合った住まいを先手を打って提供していきたい」と話す。

 総務省の調査を基にした同市の分析では、13年の市内の一戸建ての空き家(賃貸用、別荘などを除く)は2万760戸で、5年前より約5千戸増えた。

 同市建築局も実態調査を実施。同局によると空き家が特に多いのは西、中、南、鶴見区などの同市心部で、老朽化した家屋も多く、防犯や防災面でも早急な対応が必要だという。

 一方、郊外住宅地では、「手入れされた空き家」が目立つようになったという。庭も家屋もきれいに保たれているが、昼間も雨戸が閉まっている。高齢者が転居後、子や孫にいつか相続しようと所持し続けるケースが多いが、「人が住まない家が増え、ゴーストタウン化するのではという漠然とした不安はある。自治会などのコミュニティー活動にも支障が出る」(同局)ため、活用を促したい考えだ。

 同市は不動産協会などの専門家団体と協定を結び、各団体の窓口を活用して空き家の所有者を対象にした相談を今月から開始している。

 県内の空き家の総数は48万戸を超え、増加が続いている。市町村は対策に頭を悩ませており、物件の売買などを後押しする「空き家バンク」を創設するといった動きが広がり始めた。

 人口流出が続く横須賀市は国の地方創生交付金を活用し、一戸建てが立ち並ぶ住宅団地を対象に空き家バンクを今月中に開設予定。登録された空き家を購入する市外の子育て世代に転居やリフォーム代などとして最大50万円を助成する。

 同市の担当者は「中古物件であれば、若い世代でも購入しやすい。横須賀を居住地に選んでもらえるようにしたい」と定住対策としての側面を強調する。

 二宮町も同様のバンクを創設するが、対象を町内全域とし、賃貸する場合も助成対象にする方向だ。まずは空き家の戸数や所有者の意向を把握し、その後の事業展開を目指している。

 葉山町も空き家の有効活用に向け、本年度に実態調査を行う。既に所在把握を終えた清川村は所有者から借り上げ、村営住宅として転貸する事業を新たに始める。

 空き家の戸数は、5年ごとに行われる国の住宅・土地統計調査で把握されている。13年の調査によると、県内は賃貸住宅や別荘も含め48万6700戸に上り、08年より約5万8千戸増えた。


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