1. ホーム
  2. 話題
  3. 金井酒造店「新酒出来ました」

年に1度の蔵開放デーに600人が列
金井酒造店「新酒出来ました」

話題 神奈川新聞  2015年03月30日 20:18

「金井酒造店」(秦野市堀山下)で29日に行われた年に1度の蔵開放デー。600人が新酒を楽しんだ
「金井酒造店」(秦野市堀山下)で29日に行われた年に1度の蔵開放デー。600人が新酒を楽しんだ

 酒蔵内にモーツァルトの名曲を流す独自の醸造法で知られる「金井酒造店」(秦野市堀山下)が29日、できたての新酒を味わう利き酒会を敷地内で行った。午後はあいにくの天気になったが、見学申し込みをしていたファン約600人が訪れ、新酒に舌鼓を打っていた。



 年に1度だけの蔵開放デー。敷地入り口には、開場を待ちきれない人たちが長い行列を作った。“祭り”を盛り上げようと、門をくぐると秦野観光和太鼓の奏者が勇ましくバチを振り上げている。「ドンドコドンドコ」という音に高揚感があおられた。

 向かうは神聖な酒造りの場。「頭と舌。身体全部を使って酒を楽しんで」という佐野博之専務の案内で、洗米場から始まり、酒米を蒸し上げる釜が置いてある釜場、麹(こうじ)を発酵させる製麹室、櫂(かい)棒で酒母と蒸米、麹と丹沢の伏流水を混ぜ醪(もろみ)に仕上げる仕込み部屋、醪を圧搾し酒と酒粕に分ける槽場などをめぐり、行程を学んでいった。

 探検を終え、手渡されたのはプラスチックの試飲カップと、柿の種やスルメが入ったおつまみ袋。さぁ、いよいよ舌を使う番だ。用意された酒は、ずらり10種類。「大吟醸から試していくと良いですよ」という佐野英之社長のすすめで、白笹鼓の大吟醸生酒の列に並ぶ。常温のままだが、すっきりとして飲みやすい。続いて白笹鼓の純米大吟醸生酒に手を伸ばしてみた。原料米は山田錦、精米歩合は35パーセントとどちらも同じだが、純米の方は男らしい味がする。味の違いが体感できたことに、うれしくなる。

 おすすめはとたずねると、「秦野市内でしか販売していない『秦野・純米生酒』を飲んでごらん」とふたが開いた。新潟県が主な産地の「五百万石」の籾(もみ)を秦野に持参し、この地で育てた酒米でできた酒は、秦野の水、空気、太陽をしっかりと携え、この地でしか味わうことができない特別な光りを放っていた。

 伝統の味は越後杜氏(とうじ)の、内山正さんが1957年から守ってきたが、この春で勇退。今秋からは内山さんの手法を踏襲した秦野市出身の米山和利さん(49)がバトンを受け継ぐ。大学卒業後、東京都内で会社勤めをしていた米山さんは、親が倒れたことをきっかけに地元に戻り仕事をすることを決断。青森で作られている「桃川」の大吟醸を飲み、感銘を受けたことから造り酒屋に興味を持ち、27歳のときに同社の門を開いた。

 今秋の仕込みから、すべての行程の責任をひとりで背負う米山さんは「うちの酒を長く愛してくれている人に、僕が作るようになって『味が変わった』とか言われないよう、がんばりたい」と気を引き締めていた。

【神奈川新聞】









シェアする