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  3. 持続への処方箋は 人口減地域の住民
少子化が進む左近山団地。多世代の居住が課題 =横浜市旭区
少子化が進む左近山団地。多世代の居住が課題 =横浜市旭区

 「地方創生元年」の統一地方選が26日、スタートした。働き口や便利な生活を求める人々を吸い寄せ、拡大を続けてきた神奈川にも縮小の時代が迫り、地域のありようが問われている。「消滅」を回避し、「持続」への処方箋はあるのか-。いち早く人口減に転じた地域の人たちは、ひときわ真剣なまなざしで今回の選挙を見詰めている。

 相鉄線二俣川駅からバスで15分。丘の上に集合住宅が連なる横浜市旭区の左近山団地で、仲間とグラウンドゴルフを終えた老人会会長の野田収治さん(79)が口にした。「緑が多く、静かで住みやすいけれど、子どもが少なくなった。駅に近いマンションに引っ越していく人が多い」

 団地にあった三つの小学校は2年前、児童の減少で1校に統合された。野田さんが団地に入居した40年ほど前は「1学年に6学級があり、一つのクラスに50人も子どもがいた」が、一変した学舎(まなびや)の風景に「私たちの子の世代が戻ってこなければ、少子化や高齢化は解決しない」。そして、「都市部にもこうした場所があることを認識し、対策を考えてもらいたい。今、若い世代に人気の場所だって、30年もすれば同じような問題を抱えるはずだ」と訴える。

 

 意 識



 若い世代の流出で急増する高齢の単身世帯。それは時に孤独死を招くだけに、同市栄区の公田町団地は対策として希望者の住居内にセンサーを取り付け、住民らによる見守り活動に役立てている。

 仕組みの導入を訴えた元自治会長の大野省治さん(84)は利用者の1人。「おかげで何カ月もたって発見されるケースはなくなった。でも、こうして意識的に取り組まなければ支え合うのは難しい。国や自治体は住民主体の活動をもっと後押ししてほしい」

 横浜などへの転出者が相次ぐ三浦市に10年ほど前に移り住んだ飲食店経営、藤沢宏光さん(56)は地元・三崎の商店街でシャッターが閉まったままの店が増えたと感じている。「観光客が多い今のうちに新しい試みを始めなければ」と危機感を強める。

 「自治体は街の課題や民間の力を借りたい部分について、もっと情報をオープンにしてほしい」。地に足の付いた対策をと知恵を絞っているからこそ、政府の掲げる「地方創生」には疑問を覚える。「漠然としていてよく分からない」

 

 継 続



 三浦市と同様、民間の有識者会議「日本創成会議」に「消滅可能性都市」の一つとされた山北町。中学校に続いて地元小学校が今春閉校した清水地区の農家、細谷幸範さん(72)も憂える。「地方創生といっても商品券のような一過性のものではなく、継続した取り組みでなければ効果はない。山北はもう何年も前から人口が減っている。このままでは地域の行く末が心配だ」

 知事選の2候補が第一声に選んだのは、人口の多い横浜市と藤沢市。いずれの候補も人口減には言及しなかった。藤沢で遊説を聞いたコンビニ経営者の斎藤光久さん(66)は「地域経済は悪くないし、人口減を実感することもない。けれど、いずれ問題になるのは間違いないのだから、今のうちに真剣に取り組むべきだ」と指摘する。

 人口流出の続く箱根町で生花店を営み、危機感を共有する仲間とともに活性化のイベントを練る古屋光章さん(43)は言う。「知事は横浜が活動拠点。一番遠い自治体の一つの箱根にも足を運び、住民とひざを交えてほしい」


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