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まちの行方・茅ケ崎市長選<1>
防災 被害低減の手腕注視

選挙 神奈川新聞  2015年03月26日 03:00

消火栓を使って初期消火できるようにと導入された、移動式ホースの使い方を訓練する住民ら(植松会長提供)
消火栓を使って初期消火できるようにと導入された、移動式ホースの使い方を訓練する住民ら(植松会長提供)

 道路をふさぐがれきの上を、バランスを取りながら慎重に進む。メラメラと燃える木材の脇を、熱に耐えながら歩いて行く-。2009年に行われた、地震発生を想定した体験だ。「災害時はこれだけしか歩けないのかと、身をもって分かった」。茅ケ崎市南東部、浜竹1丁目自治会の植松伸擴会長(77)は振り返る。

 相模湾に接する茅ケ崎市では東日本大震災以降、津波対策に注目が集まった。一方で、木造住宅の密集地が多いため、地震発生に伴う大規模火災のリスクも高い。1棟からの出火で周辺もすべて燃えてしまう建物群「クラスター」内にある建物数は県内最大だ。

 同自治会も、市内最多の1万超の建物で構成されるクラスター内にある。「誰だってそんな危険地域には住みたくない。でも簡単に転居できない」。だからこそ、初期消火の訓練や避難経路の想定を重ねるが、根本的な改善にはならない。「できるだけクラスターを分断するような対策が必要なのではないか」。植松会長は切実に訴える。

◇ ◇ ◇

 県が09年にまとめた地震被害想定調査によると、マグニチュード(M)7・9の関東地震が発生した場合、茅ケ崎市内の火災による焼失棟数は最大2万1780棟、市域全体の33%に及ぶ。

 被害を小さくするには、道路幅の拡張や沿道の建物の不燃化、公園など防災空間の設置により、建物間の距離を広くする必要がある。だが住宅の立ち退きなどを伴う上、建物の不燃化にも個人負担の費用がかかる。

 「すでに生活している人がいる以上、根本改善には時間がかかる」。市都市政策課も課題を明かす。「分断を進めなければいけないのは事実。危険性を周知しつつ、少しでも被害を抑えるための消火設備や避難路の確保に向けた取り組みを行っているのが現状」

◇ ◇ ◇

 市民の防災意識の向上も課題だ。「火災なら広域避難場所、津波なら高層ビルと、状況によって変わる避難方法を理解していない市民も多い。周知に力を入れていきたい」と市防災対策課は強調する。

 同自治会でも、消火栓につないで使う「移動式消火ホース」の使用訓練や避難方法を学ぶ勉強会を積極的に行っている。それでも、不安がすべて解消されるわけではない。「個人の財産が関わる話で、難しい問題だと思う。だが、何とか根本的な改善ができないものだろうか」。植松会長は、市長の手腕を注視している。



 任期満了に伴う茅ケ崎市長選の投開票まで、26日で1カ月。現職に新人2人が挑む構図が固まる中、市が抱える課題を探る。

【神奈川新聞】


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