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都知事選で舛添氏の応援に入った黒岩知事(左)。元首相の細川氏らが「脱原発」を訴えた戦いでもあった=2014年2月、JR新宿駅東口
都知事選で舛添氏の応援に入った黒岩知事(左)。元首相の細川氏らが「脱原発」を訴えた戦いでもあった=2014年2月、JR新宿駅東口

 「前回知事選では太陽光パネルを(4年で)200万戸に設置すると訴えた。それはできなかった。だが、諦めてはいない」

 知事の黒岩祐治は2月19日、県議会での再選出馬表明後、記者らの囲み取材で力を込めた。公約が実現できなかったことを認めながらも、「原点」へのこだわりをみせた瞬間だった。

 2011年3月、東日本大震災直後の前回知事選。東京電力福島第1原発事故に伴う異常な状況下、黒岩は原子力に頼りきったエネルギー政策の限界を感じた。新たなエネルギー体系への転換こそ、「(知事になる)最大の使命だと感じた」とも著書に記している。

 唯一の数値目標だった「200万戸」は就任早々に事実上撤回へと追い込まれたが、後に「スマートエネルギー計画」を策定。30年度までに県内電力消費量に占める再生可能エネルギーなどの割合を45%にする新たな目標を定めた。黒岩いわく「公約のバージョンアップ」である。

 昨年11月末時点までの新規導入量は16・5万戸分。囲み取材ではこうも語った。「30年度に200万戸分も達成する。達成時期が延びただけであって、目標に向かって全力を注ぐ」

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 「元祖脱原発派」を自認する黒岩だが、原発ゼロ派とは一線を画してきた。昨年2月の都知事選でもその立ち位置は鮮明に表れた。

 元首相の小泉純一郎とタッグを組む元首相の細川護熙らが、安倍政権が支援する舛添要一と争った首都決戦。細川・小泉連合は、原発再稼働に前向きな安倍政権を向こうに回し、脱原発の単一争点化を狙った。

 黒岩は静観の構えから一転、舛添の応援に入り、夕暮れの新宿駅前でマイクを握った。「原発に依存し過ぎたエネルギー体系を脱し、新しい体系をつくる。舛添さんとは同じ考えで、われわれは『脱原発連合』だ」と声を張り上げた。

 会見で真意を問われ、こう答えた。「細川さんは『反原発』っぽい。新しいエネルギー体系を早くつくるより、原発を全てゼロにするところに重点がある。(私とは)違うと思う」

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 原発ゼロを「非現実的な選択」とみる黒岩。パネル設置費を固定価格買い取り制度で賄う「屋根貸し」など独自施策を打ち出しながら、再生可能エネルギーを普及させる「脱原発」の道を進んできた。

 原発ゼロにくみしない点では、国のエネルギー政策とも近い。昨年夏に事実上の審査合格を受けて川内原発が再稼働へ動きだした際も、こう言い切った。「(安倍政権の)方針は私の考えと基本的に同じだ」

 だが、昨年12月、スマートエネルギー計画の根幹を揺るがしかねない政府方針に動揺が走る。国は買い取り制度見直しに着手し、電力会社が発電抑制を求められる対象を一般家庭にも広げる案を示したのだ。

 黒岩は、経済産業副大臣の山際大志郎に「採算性が見通せず太陽光発電の普及にブレーキがかかる。対象から外してほしい」と直訴。「再生可能エネルギーはもう普及させては困るというメッセージがあるようにみえる」と“原発依存回帰”を懸念した。

 結局、出力制限の対象から外れ事なきを得た。だが、計画の実現を左右する政府方針の行方に神経をとがらせる黒岩は会見で、国との同一歩調をアピールすることも忘れなかった。

 「誤解が生じている。再生可能エネルギーを最大限導入するという基本方針について国と県は一致しており、今後も連携して普及拡大を図っていく」

 (敬称略)

 =おわり

◆かながわスマートエネルギー計画 県が2014年4月に策定した、再生可能エネルギーの導入目標や基本政策などを定めた総合的な計画。再生可能エネルギーの導入加速化や安定した分散型電源の導入拡大などの基本政策を掲げる。30年度の太陽光発電導入目標を815万キロワット(太陽光パネル換算で住宅約247万戸分)と設定し、年間電力消費量に対する分散型電源の発電割合は、20年度で25%、30年度で45%とした。

【神奈川新聞】


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