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自分の役割とは? 根付く高校生の防災教育
自分の役割とは? 根付く高校生の防災教育

社会 神奈川新聞  2015年03月15日 10:43

真剣なまなざしで震災時の状況を学ぶ生徒たち=横浜市鶴見区の県立鶴見高校
真剣なまなざしで震災時の状況を学ぶ生徒たち=横浜市鶴見区の県立鶴見高校

 東日本大震災の経験に学ぶ高校生の防災教育が県内に根付き始めた。被災した同世代との交流事業が広がりを見せ、「震災学習」を修学旅行のテーマに据える学校も増えてきた。生き抜いた人々の生の声や自分の目で確かめた現場の光景から命の大切さを学び、自らの役割を見つめ直している。

 次代への教訓の継承は、14日に仙台市で開幕した国連防災世界会議のテーマの一つ。折しもこの日、横浜市鶴見区の県立鶴見高で宮城県石巻西高(東松島市)の2年生を招いた防災研修があり、津波の恐れがある三浦半島の高校からも生徒が足を運んだ。

 「語るのは被災者の務め。継ぐのは聞いた皆さんの務め」。そう切り出した石巻西校の斎藤幸男校長がスライドで示したのは、津波が押し寄せてきた川のそばからなかなか避難しない人の姿だった。「大人に任せていても命は守れない。自分の判断で行動して」

 在校生9人、入学予定者2人の計11人が犠牲になった。避難者を受け入れる一方で700人もの遺体が安置された。震災翌年から始めた「命に向き合う防災教育」は、県内外の高校生や若者との交流を重視している。

 その一環で昨夏に石巻西校を訪ねた鶴見高2年の佐藤由梨さん(17)はかみしめる。「高校生には、もっとできることがある」

 この日の研修では、グループ別に防災のカレンダーやカルタ作りに取り組んだ。同じグループだった石巻西高2年の菅原彰太さん(17)の自宅は津波で全壊。「生きるので精いっぱいだった」が、「二度と同じような災害が起きないでほしい」と積極的に交流する思いを明かした。

 石巻西高の生徒たちは15日にも、県立平塚工科高(平塚市)で交流する。主催したNPO法人神奈川災害ボランティアネットワークは、2015年度以降も高校生の交流事業を続ける考えだ。

 修学旅行で被災地を訪ねる高校も増えている。県教育委員会によると、13年度は1校のみだったが、14年度は5校が宮城や岩手へ。その一つ、県立座間総合高(座間市)の2年生は昨年9月、岩手北部を走る三陸鉄道北リアス線の「震災学習列車」に乗った。

 駅間で停車した車内から見えたのは、踏みとどまった1本の木と広がる砂浜。皆と黙とうをささげた樋上麗詠さん(17)はその光景が忘れられない。「命の大切さを考えた。家族に会いたくなった」

 車窓に映る光景を見つめ続けた澤田幸那さん(17)は「写真や映像では分からない雰囲気が伝わってきた」と振り返り、半年が過ぎた今も被災地に心を寄せ続ける。「防災への意識が変わった。将来、自分に子どもができたら伝えていきたい」

【神奈川新聞】


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