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川崎・多摩川中1殺害
事件から3週間 面識ない献花者絶えず

社会 神奈川新聞  2015年03月14日 03:00

今も多くの人が訪れ、手を合わせる遺体発見現場。この日は前日に引き続き、県警による多摩川の捜索も行われた=13日、川崎市川崎区
今も多くの人が訪れ、手を合わせる遺体発見現場。この日は前日に引き続き、県警による多摩川の捜索も行われた=13日、川崎市川崎区

◇家族や教え子の姿重ね

 川崎市立中学1年の男子生徒(13)が刺殺された事件は、13日で3週間が経過した。残忍な手口に加え、容疑者も少年だったことは社会を大きく揺さぶり、遺体発見現場の多摩川河川敷は今も献花する人が絶えない。多くは生徒や遺族と面識がないが、悲しみに打ちひしがれ、怒りに震えながら、それでもわが身に置き換えて事件に向き合おうとする姿は共通している。
 
 ◇

 「うちと一緒だね」-。束になった献花の前で50代の地元女性はつぶやくと、周囲の視線も気にせず号泣した。胸の奥深くにしまっていたのは、重すぎる家族の秘密だ。「長男がずっと刑務所に入っているんです」

 ことし30歳になる長男は中学時代、いじめで不登校になった。その後、声を掛けられ、親しくなった非行グループから抜け出せず、盗みや路上強盗に手を染めた。拒否すれば鉄パイプで制裁を受け、瀕死の重傷を負ったこともあった。殺害前、暴行を受けていた生徒にどこか重なる。

 他県から川崎に移住し、父親がいない家庭の事情も一緒。当時、深夜に帰宅しない息子を捜し、何度も足を運んだ河川敷が今回の事件現場だった。「昔の記憶がよみがえってきて…。この事件は決して特別ではないんです」。身内の不祥事を他人に明かしたのは、これが初めてという。

 少年野球の指導者という男性会社員(45)=川崎市中原区=は、奪われた13歳の命を昨春巣立ったばかりの教え子にダブらせる。通勤ルートは現場の至近だが、「人を人と思わないような犯罪。最初は見たくなかった」。

 連日の報道に無関心ではいられなくなり、発生20日目にようやく河川敷へ足を向けた。「家庭でも学校でもなく、もう一つ頼る場所があれば…。最後は大人が子どもを守らなきゃいけない」。SOSを発しながら救うことができなかった命に思いをはせて目を真っ赤にし、その場をしばらく離れなかった。

 現場で献花が始まったのは、生徒の身元が判明した翌日の2月22日から。当初は同級生や友人が多数駆け付け、悲しみに暮れた。同27日に殺人容疑で17~18歳の少年3人が逮捕され、次第に事件の全容が明らかになってくると、訪問者は一気に増えていった。

 多くは被害者の一家と縁がないが、「うちも母子家庭で中学生の子どもがいる。いても立ってもいられなかった」(横浜市港北区、40歳の女性会社員)という衝動に駆られた子育て世代も少なくない。

 現場には花束だけでなく、生徒を思ってバスケットボールやシューズなどが供えられ、防寒用の衣類も目立つ。遠く大阪や静岡からの訪問を示す色紙も。河川敷を所有する川崎市は当面、線香などの火気に警戒しつつ、身近な事件を直視しようとする人々を静かに見守るという。

【神奈川新聞】


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