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減災:避難先示す箱根マップ 関東学院大生が作成

社会 神奈川新聞  2015年03月09日 17:50

箱根を訪れる観光客向けに防災マップを作った川端さん(左)と影嶋さん=横浜市金沢区の関東学院大
箱根を訪れる観光客向けに防災マップを作った川端さん(左)と影嶋さん=横浜市金沢区の関東学院大

 国際観光地・箱根の災害リスクと避難方法を国内外の観光客に伝えようと、関東学院大理工学部の学生2人が独自の防災マップを完成させた。活火山を抱え、急傾斜地が多いといった地形的特徴を踏まえ、避難先となる公共施設やホテル、コンビニなどを落とし込み、別々のハザードマップに示されている土砂災害警戒区域や河川氾濫の浸水想定域を併せて表記した。地理に不案内な人でも、いざというときに活用しやすい内容に仕上がっており、都市防災工学研究室のウェブサイトで公開している。

 「箱根町の災害ウオッチ」と題したマップを製作したのは、研究室4年の影嶋宏一さん(22)と川端聡さん(22)。東日本大震災時に首都圏で帰宅困難者が大きな問題になったのを踏まえ、年間約2千万人もの観光客が訪れる箱根町の災害対策を検証した。

 卒業研究として昨夏から現地踏査や町役場担当者へのヒアリングを重ね▽土砂災害警戒区域内に避難場所や宿泊施設がある▽地形的に孤立の可能性が高い▽交通手段が限られ、災害時は渋滞や混乱を招きかねない-といった課題を把握。影嶋さんは「歩道がなかったり、通りから奥まった場所にある避難所への案内表示が不十分だったり、特に初めて訪れた人には分かりにくい」と気付いたという。

 そうした現状を変える一歩として避難を手助けするマップ作りを考案。観光客が多い湯本、強羅、元箱根などの8地区に分けて掲載した。地震や土砂災害時の避難場所や被災後の生活拠点となる避難所、主な施設や広場を写真付きで示し、「駅からの道が分かりにくく、建物は古い」「住宅街と観光施設が混在する場所で、災害時に混雑が予想される」といったコメントも添えた。

 さらに土砂災害警戒区域を黄、特別警戒区域は赤、洪水浸水想定区域を青で示した。宮城野や仙石原にはこれらの区域が重なり合ったエリアがあり、その範囲内に立地する観光施設や避難場所が一目瞭然となっている。外国人旅行者にも理解してもらうため、各地区の名称、避難場所や警戒区域といった用語の英訳のほか、日本では地震や台風が珍しくないことを伝える英文のメッセージも載せた。

 箱根が好きでよく遊びに行くという川端さんは「この地図は箱根が危険だと強調するものではない。どこにどんな災害のリスクがあるかを知った上で楽しんでほしい」と訴えている。

 マップ作りの過程では、昨年8月に広島で土砂災害が発生し、土地の持つリスクを地域でどう共有するかが問われた。同9月の御嶽山噴火では観光客に対する情報提供が大きな教訓となった。

 こうした課題も踏まえ、都市防災工学研究室の若松加寿江教授は「観光地で災害のリスクを前面に出すのは難しいかもしれないが、多くの人命が失われてから取り組むのでは遅い。観光客に手に取ってもらえる地図になったのではないか」と今回の取り組みの意義を強調している。

 研究室のサイトは、http://home.kanto-gakuin.ac.jp/~wakamatu/

【神奈川新聞】


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