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さがみ縦貫道路 全通の先に<下>観光誘客

社会 神奈川新聞  2015年03月09日 17:43

8日には、海老名南JCTで開通式典が行われ、真新しい道路で約50台が「通り初め」をして開通を祝った
8日には、海老名南JCTで開通式典が行われ、真新しい道路で約50台が「通り初め」をして開通を祝った

 晴天に恵まれた土曜日の江の島(藤沢市)。島の入り口からほど近い場所にある駐車場前の路上で、男性警備員が車列に向かって声を張り上げていた。

 「300メートル先の駐車場が空いてますよ」

 地図を記載した看板を示しながら窓越しにドライバーに告げると、車は次々と移動を開始した。

 警備員が狙うのは、主要3駐車場への車両の分散化だ。島内は主要道路が1本しかなく、普通車327台を収容する手前の駐車場が満車状態になると、空き待ちの車で車線がふさがれてたちまち渋滞が発生。奥部にある2駐車場(普通車換算で計425台分)の利用も必然的に難しくなる。

 この構造的欠陥を少しでもカバーするため考案されたのが、口頭での“満空情報”の伝達だった。駐車場の運営会社「湘南なぎさパーク」が2月から試行。2015年度から本格実施に踏み切ることを決めた。

 野沢俊社長は「さがみ縦貫道路開通を見据えた取り組み。観光客の増加も予想され、混雑を少しでも緩和できれば」と説明する。

 渋滞対策は江の島にとって長年の懸案事項だった。休日には島と対岸を結ぶ江の島大橋まで車で埋まり、島内に入るまで1時間待ちの状況もざらという。

 縦貫道路開通を前に北関東や甲信地方でPRキャンペーンを行ってきた市観光協会の福島勇専務理事は「開通による誘客効果は間違いなくある」と歓迎するも、「確かにアクセスは良くなるが、さらに車を呼び込むには受け皿が足りないのも事実。特に大型バスは現状でも止める所が少ない」と課題を指摘する。

■ ■

 隣の鎌倉市も抱える事情は似たり寄ったりだ。年間延べ2300万人超が訪れる国際観光都市でありながら、市中心部は三方を山、一方を海に囲まれた天然の要害。道路事情は十分と言えず、行楽シーズンの休日には常に慢性的な渋滞に悩まされてきた。

 「さがみ縦貫道路の開通はもちろん大歓迎」と口にする市観光商工課は、一方で「車で市内を巡ることは避けてもらいたい。公共交通機関の利用を呼び掛けることが欠かせない」と複雑な表情ものぞかせる。

 方策の一つとしてPRしているのが、中心部手前の駐車場に車を止め公共交通に乗り換える「パーク&ライド」だ。駐車場代の割引と江ノ電やバスのフリー切符をセットにした格安プランを用意。さらに、市内の寺社の拝観料や美術館の入館料、協賛する飲食店での代金が割り引かれる特典も付いている。

 江の島、七里ガ浜、稲村ガ崎、由比ガ浜の4駐車場で実施しており、利用台数も年々増加。2カ所でスタートした01年度と比べ、13年度は約12倍の計1万6674台が利用した。市は縦貫道路の開通に合わせて、PRの強化に努めるという。

 国内では先例のない、一般道での課金システム「ロードプライシング」の導入も検討中で、市交通計画課は「さまざまな対策を織り交ぜ、東京五輪の開かれる20年までには渋滞を解消したい」としている。

【神奈川新聞】


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